「実業家大統領」が1年で達成した偉業の数々

就任1年、メディアは課題ばかり報じるが・・・

さらにトランプ政権は、新たな規制を作るのではなく、既定の法規制の運用を緩めることで企業の投資を促そうとしている。1月1日付のニューヨーク・タイムズ紙によれば、2017年1月以降、連邦政府は予定されていた1600項目の規制の実施を遅らせるか停止したという。

エネルギー分野では、環境保護局の長官に地球温暖化に懐疑的なスコット・プルーイット氏を起用し、オバマ政権時代に強化された環境規制の撤廃を促した。こうした行政の姿勢が投資判断に寄与し、第3四半期までの設備投資額は6.2%上昇している。そしてアメリカの経営者たちの最大の懸念は、ここへきて急速に、法規制遵守のためのコストから人手不足にかわりつつあるという。

昨年12月20日に議会で可決され、トランプ大統領が22日に署名した減税法案では法人税率は最高35%から一律21%に下がり、海外からの配当金が免税となった。特定の固定資産の一括償却など期限付きの改正項目もあるが、これらはグローバル企業のアメリカでの投資を後押しすることはもちろん、米国内の中小企業にとっても嬉しいニュースである。

大型減税法案の成立をうけて、1月24日までに100社以上が臨時ボーナスや賃上げを発表するなど、ちょっとしたお祭り騒ぎが続いている。それまで共和党が多数の議会でありながら目立った法案の成立もなかったトランプ政権だが、年末の土壇場で、実業家大統領としての意地と執念をみせたかたちだ。

オバマケアを撤廃できるか?

ちなみに、個人の所得税への影響については、一概に減税とはいえず、各世帯の税務負担も減るとは限らない。フラット税制の提唱者も多い共和党の改正法ということで、雑多な控除項目が削られ、税務が大幅に簡素化されるのかと思いきや、1月22日付のCPAジャーナルによると、改正法は抜本的な改革からはほど遠く、複雑でありながら中途半端すぎていますぐ包括的な改正が必要だそうである。

また、低所得層に配慮したため課税ベースは拡大せず、連邦消費税が導入されるでもなく、財政規律については疑問が残る。法人税減税でビジネスマンのハートは掴んだかもしれないが、納税者全体としての審判が下されるのには11月の中間選挙を待たねばならない。

経済政策に関する公約のうち、残りは大規模なインフラ投資とオバマケアの撤廃だが、このうちインフラ投資は、トランプ大統領が超党派ですすめる意欲を示しており、2018年にはより具体的なアクションが期待される。また2017年を通じてアメリカの株価は上昇し、景況感も改善しているが、雇用統計は210万人の増加と前年並みなので、こちらの推移にも注目したい。

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