「実業家大統領」が1年で達成した偉業の数々 就任1年、メディアは課題ばかり報じるが・・・

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1月25日、イスラエルのネタニヤフ首相と握手するトランプ米大統領。スイスのダボスで会談した(写真:ロイター/Carlos Barria)

ドナルド・トランプ大統領の就任から1年。過激な言動が物議をかもした1年だったが、大統領としての成果はどうだったのか。支持率は、1年を通じて40%前後で低迷しており、CBSニュースの調査では就任1カ月、1年後ともに、共和党支持者の8割強、民主党支持者の1割弱、無党派の3割強が支持と、大きな変動はない。大統領の支持率には依然、政党とトランプという人物への好き嫌いがそのまま反映されているようだ。 

一方、トランプ大統領の暴言やスタイルはさておき、仕事の成果が自ら設定し、信任をうけた優先課題に対してぶれずに施策を実行し、結果を出すことだとすれば、大統領はおもな政策の方向性についてほぼぶれておらず、公約の進捗についても成果が乏しいとはいえない。

とりわけテロとの戦いと規制緩和、大型減税においては目をみはる結果を出したといって差し支えないだろう。政権運営での混乱こそあれ、やはり凄腕の実業家大統領なのである。

第一の公約は、治安の回復だった

一昨年夏の共和党大会の指名受諾演説に戻り、トランプ大統領の公約を振り返ってみよう。第一の公約は、治安の回復だった。トランプによれば、政府の役割はまずは市民の安全と権利を保障することであり、そのためには建前政治(ポリティカルコレクトネス)と決別してでも、国境警備を強化して不法移民やイスラム過激派の入国を阻止し、圧倒的な軍事力でイスラム国に壊滅的な打撃を与えるというのがその内容だった。

とくにイスラム国をはじめとする過激派との戦いは、トランプ政権の最優先課題だった。トランプ大統領は中東での実戦経験が豊富なジェームズ・マティス元中央軍司令官を国防長官に指名し、長官指揮下の米軍は、イスラム国勢力圏でのシリア民主軍による徹底的な空爆作戦を強力に後押しした。

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