西武Sトレイン、ダイヤ改正で「不人気」脱却か 運行本数やスピードは改善されるが…

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ダイヤ改正でどの程度改善されるのか、前ページで指摘した項目の状況を表にまとめてみた。

ダイヤ改正で最大の変化は本数の増大だ。平日夕方以降の豊洲―所沢は3本が5本になり、しかも時間が18時から22時で豊洲毎時00分発。これは便利だ。しかし、料金、運行区間、停車駅等に改善がないので、どのくらい利用者が増えるかは未知数だ。

最大のネックは料金にあるように思う。これはハード面での障害は何もないのでやる気があればすぐにできる話だが、各社の協力の中で運行しているものであり、料金の値下げに東京メトロ(休日の場合は東急も含めて)との合意は得にくいのだろう。現在は各社線の料金を加算する方式であり、運賃と同じで、割高になっている。

拝島ライナーは人気が出そうだ

今回のダイヤ改正で、同じく40000系の車両を利用した拝島ライナーの運行も発表された。西武新宿線の西武新宿―本川越間はレッドアローが運行されているが、ダイヤ改正で、途中の小平から分かれて拝島に行く拝島線に乗り入れる拝島ライナーがSトレインと同じ車両を使い、平日、土休日ともに夕方以降の下りで5本が運行される。

料金は西武新宿・高田馬場から小平―拝島間の各駅まで300円の均一料金。興味深いのは小平から西武立川(拝島の手前)の各駅から乗車する場合は指定券の購入が不要で、空いている席に座れることだ。これは東武東上線のTJライナーも同じ。レッドアローより明らかに快適性が劣るので安めの料金設定にしたと思われ、人気が出るように思う。一方、Sトレインは他社線にまたがる運行であり、それが510円と300円の料金差になっているが、510円という料金を消費者がどう判断するかだろう。

細川 幸一 日本女子大学教授

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ほそかわ こういち / Koichi Hosokawa

専門は消費者政策、企業の社会的責任(CSR)。一橋大学博士(法学)。内閣府消費者委員会委員、埼玉県消費生活審議会会長代行、東京都消費生活対策審議会委員等を歴任。著書に『新版 大学生が知っておきたい 消費生活と法律』、『第2版 大学生が知っておきたい生活のなかの法律』(いずれも慶應義塾大学出版会)等がある。2021年に消費者保護活動の功績により内閣総理大臣表彰。歌舞伎を中心に観劇歴40年。自ら長唄三味線、沖縄三線をたしなむ。

 

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