西武Sトレイン、ダイヤ改正で「不人気」脱却か 運行本数やスピードは改善されるが…
所沢を朝の6時24分に出発し、豊洲に7時24分に着く102号は毎日8割以上の乗車率でまずは好調と言ってよい。同区間の朝はこの1本だけで、残り3本は15時以降となる。これは西武線の上りで乗車率はそもそも期待できない時間帯であり、毎日ほとんど乗客がいない。17時以降の豊洲発の101号(17時00分)、103号(20時00分)、105号(23時00分)も乗車率は芳しくなく、いずれも5割程度かそれ以下の日が多い。ネット上でも「ガラガラトレイン」、「このままでは危ない」との声が聞かれる。40000系車両の前評判は高く、運行前のお披露目のイベントや運行初日の式典には多くマニアが詰め掛けたのとは対照的に朝の1本以外、不人気が目立つ。
では、ダイヤ改正でどの程度改善されるのか。
快適性
ダイヤ改正のために新編成が導入されているはずだが、快適性向上の発表はなかった。この車両のシートはリクライニングしない。シートピッチが広く、それゆえリクライニング角度も大きい特急レッドアローと比べるとかなり劣る。必ず座れるということに特化した車両であることはわかるが、改善してほしかった。
車両の端はロングシート3人掛けで進行方向には向かない固定式。フリーWi-Fiは完備している。窓側の席とロングシートにはコンセントがある。2人掛け席には前のシートの背もたれにドリンクホルダーがあるが、テーブルはない。窓枠の幅が狭いのでここには飲み物やお弁当などをまず置けない。ドア近くのシートはドリンクホルダーすらなく、足元も窮屈で、窓側の席でも戸袋で外が見えず不評である。
指定券購入のしやすさ
レッドアローの特急券と同じく西武のチケットレス予約システム「Smooz」と「インターネット予約サービス」が利用可能。「Smooz」は昨年10月からシートマップで座席指定が可能となり、便利。不評のドア近くの席も避けて購入できる。駅窓口、停車駅ホームを中心に設置された指定券券売機でも購入可能。ただ、券売機は10両編成のホームで1カ所にしかなく、直前だと買う機会を持てない乗客もいる印象だが、変化はないようだ。
速達性
停車駅が少ない割にあまり速くない。特急レッドアローの通過待ちの場面もあるSトレインだが、改正後は1~2分速くなる。夕刻以降の下りは豊洲―所沢間57分。ただし、最終の109号(22時00分豊洲発)だけは54分でほかより速い。
そもそもSトレインの速達性種別が不明。レッドアローの列車種別は特急だが、Sトレインは愛称兼種別となっている。乗降扱いしない小竹向原や練馬で乗務員交代等の停車があること、有楽町線内に追い抜き設備がないことも速度が遅い原因である。
運行本数は増える
停車駅
これも変化なし。速度の記述と逆に、遅い割に停車駅が少ない。官庁街の永田町、急行停車駅のひばりヶ丘に止まらないのは不思議との意見も。巨大ターミナルで西武池袋線始発駅の池袋に止まらないのは需要がないと見込んだのか、あるいはレッドアローを利用させたいためか。
運行区間
有楽町線内はなぜ新木場からでなく豊洲始発なのかとの声もあるが、これも変わらず。西武池袋線内は所沢が始発・終点(平日)で、レッドアローが行く飯能、西武秩父には行っていない。距離が長いほど座席指定列車の需要はあるはず。導入編成数の増大でゆとりができれば飯能までの延長はあるかと予想する声もあったが、これも変化なし。
運行本数
最大の変化は運行本数。ただし、利用価値が高いと考えられる朝の所沢発豊洲行は1本だけで変わらない。夜は現在、豊洲発が17時00分、20時00分、23時00分の3本だけで、とくに17時00分発はサラリーマンの帰宅には早すぎる。改正で18時から22時まで1時間おきに5本となり、かなり利便性が増大したといえるだろう。
夕方以降に所沢を出発する列車も3本から5本に増える。これは豊洲発の送り込み電車だが現在、利用はほとんどなし。本数が増えても乗客数が増えるとはあまり思えない。Sトレイン扱いをやめたほうが良かったのではないか。
料金設定
均一設定の510円も変化なし。レッドアローの池袋―所沢400円、池袋―飯能500円と比べると快適性、速達性が劣る分だけ割高だ。西武鉄道区間分300円と東京メトロ区間分210円分を加算しているためこの金額に。ちなみにレッドアローの平日夜の下りは全便いつもほぼ満席。東武東上線のTJライナーの池袋発下りは310円の均一料金で、利用は好調だ。
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