壇蜜「仕事に楽しさ求めない」と言い切る理由 "自分らしく"という幻想に押し潰されないで
壇蜜さんは、不思議な女性だ。
「エッチなお姉さん」というちょっぴり過激なふれこみでバラエティー番組を席巻したかと思えば、その発言は知性に溢れ、どんな無茶ぶりにもほどほどのユーモアと慎みでいなし、男性のみならず女性人気も獲得。今やその活動は文筆業や女優業など多岐に広がっている。
いわゆる“壇蜜フィーバー”から5年。ブレイク期から「いずれ流行りは廃れる」と熱狂を客観視していたが、決して一過性のブームで終わらず、壇蜜さんは芸能界で確かなポジションを築き上げている。プロとして、求められるものに粛々と応え続ける壇蜜さんから私たちは何を学べるだろうか。壇蜜さんの仕事へのポリシーを探ってみた。
私は今、孤独から立ち直っている最中なのかもしれない
壇蜜さんの最新出演作『星めぐりの町』は、ベテラン俳優・小林稔侍さん初主演となる映画だ。壇蜜さんが演じるのは、小林さん演じる勇作の一人娘・志保。数年前のインタビューで女優の仕事について「向いていない」と即答していた壇蜜さん。あれから歳月を経て、経験を重ねた今も「やっぱり向いていないですね(笑)」と話す。
「でも今回は黒土(三男)監督が、志保の人物像を細かく描いて指示をくださったので、とてもやりやすかったです。やるべきことが明確で、『どうしていいのか分からない』と悩む時間がほとんどありませんでした」
小林さん演じる職人肌の豆腐屋主人が、東日本大震災で家族を失った少年・政美を引き取り、生活を共にするところから本作は幕を開ける。固く心を閉ざしていた少年が、勇作や志保との交流を通じて、少しずつ本来の明るさを取り戻していく過程が、大きな見どころだ。