「原油価格がもう一段上昇する」と読む理由 シェール革命でも「1バレル=70ドル台」は目前
これまで生産量が日量1000万バレルを上回るのは今年第4四半期と見込まれていたが、大幅な前倒しとなる。月間ベースの従来の最高は1970年11月に記録した1004万バレルだが、それ以降は米国の輸入原油依存が強まって、生産は減少基調が続いていた。
「供給が需要を上回る」と読む、EIA予想は正しいのか?
さらに、ここ数年は「シェール革命」によって状況は変わりつつあったが、想定以上に生産が増えている。また、EIAは米国での2018年全体の生産の伸びの予想も、日量78万バレルから同97万バレルへと大きく上方修正している。さらに「2019年も増産が続き、同年末には生産量が1100万バレルを突破する」としている。一方で、今年の米国の需要の伸びを日量41万バレルから47万バレルの予想に引き上げ、2019年の需要はさらに34万バレル増えると見込んでいる。
EIAの予想をもとにすれば、「需給バランスからみれば、供給が需要を上回るため、原油在庫が増えるか、輸出を拡大させてバランスを取るしかない」ということになる。そうなると、OPECなどによる減産の効果は薄れるため、世界的に石油需要が拡大しない限り、在庫調整が進まないという話になる。こうなると、「やはりシェールオイルが原油価格の上値を抑える」といった弱気な見方が再び強まるということになりそうだ。
しかし、シェールオイルの生産はそれほど極端には増えないだろう。「生産コストは徐々に下がっている」との話もあるがようだが、筆者はこうした予想ほど増えるとは考えていない。
いずれにしても、重要なのは、将来の販売価格を決める「売りヘッジ」ができるかどうか次第だということだ。現時点では、2020年以降は売りヘッジが55ドル以上ではできない状況だ。つまり、将来の原油の販売価格が下がっても収益を確保するための先物市場での売りヘッジを行っても、いまは55ドル以下でしかできないため、生産を積極的に行うとの予算が組めないということである。
このように、いまはかなりの逆ザヤになっており、生産者泣かせの先物市場のカーブの形状になっている。こうなると、原油価格が高止まりする中、毎月の販売で高く売れることを祈るしかない。無論、生産を増やし過ぎて価格が急落すれば、採算割れとなり、生産は継続できなくなる。
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