プロ野球の「球場PV」はどこまで普及するのか スタジアムの稼働率向上は共通の課題だ

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2017年11月4日、2万人以上が来場したパブリックビューイングの様子。外野にも入場者がいることがわかる(写真:横浜DeNAベイスターズ提供)

ちなみに10月28日、29日の日本シリーズ初戦と第2戦は、ハマスタは社会人のアメリカンフットボールの大会に押さえられていたので、ベイスターズスタジアムでの開催を予定していたが、2試合とも台風の接近で中止になっている。

動員数は計9試合で実に9万8000人。日本シリーズ進出を決めた10月24日の広島戦は2万3910人、ソフトバンクが優勝を決めた11月4日は2万1607人に上った。

ベイスターズがこれだけのことをできたのは、球場が実質自前だからだろう。球場自体の所有は横浜市だが、運営会社の横浜スタジアムは球団の子会社だ。

自前でなかったら、警備、誘導、清掃等のスタッフコストは球場持ちではあっても、フードショップの収入も球場のものになってしまう。球団は使用料が発生する一方で、入場料を無料にすると完全に持ち出しになる。だが、自前ならフードの収入でコストをある程度カバーできる。

そもそも球場運営会社が球団の子会社だからこそ、終わってみなければわからない、CSや日本シリーズへの進出を前提として球場を押さえるということが可能だったのだろう。

実際、2016年シーズンに日本一となった北海道日本ハムファイターズの場合、本拠地札幌ドームは赤の他人。日本シリーズのPVは札幌ドームでは1度も開催されていない。PVの開催場所は、敵地マツダスタジアムでの第1戦、2戦は新千歳空港と2軍球場の千葉・鎌ヶ谷スタジアムの2カ所、6戦は旭川市観光物産情報センターを加えた3カ所だった。

一部球団ではホームゲームのPVが標準化

ベイスターズはシーズン中も、ホーム開催日のうち一定日数は、球場外周部の芝生エリアにビアガーデンを設け、大型のモニターを設置してゲームの映像を流している。流している映像は球団が自ら制作した基本映像なので、中継している放送局に許可を得る必要もなければ対価も発生しないし、中継がない日でも流せる。

モニター観戦自体は無料だが、球場内に入れるチケットが多くのゲームでプラチナ化しているので、チケットを買えなかったり、あえてここで応援したいファンの間では、場所取りの対象になるほどの盛況ぶり。ここで稼げる飲食収入はバカにならないはずだ。

東北楽天ゴールデンイーグルスもシーズン中、スタンドの外周部にフードの屋台とテーブルを大量に設け、そこにモニターを設置して球団制作の基本映像を流している。福岡ソフトバンクホークスはスタンド内に居酒屋「鷹正」があり、チケットなしで外から入れる店内にモニターを設置し、球団制作の基本映像を流している。

いずれも実施しているのはホームゲーム開催日であり、球団が基本映像を制作していてテレビ局から映像提供を受ける必要がなく、かつ球場の運営権を球団が握っており、映像を無料で見せても飲食収入が見込めるなど、採算も含めて1つの球団だけで自己完結するからこそ実現しているサービスなのだろう。

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