プロ野球の「球場PV」はどこまで普及するのか スタジアムの稼働率向上は共通の課題だ

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首都圏では独立系のテレビ神奈川がハマスタにカメラを持ち込み、朝日放送から提供を受けた同局制作の現地映像に、自社制作のハマスタの映像を要所要所で挟み込んで、ゲーム開始から終了まで中継した。このほか、朝日放送からの映像提供で、テレビ朝日系列の広島ホームテレビが広島ローカルで放送している。

合羽を着たテレビ神奈川の取材クルーたち(筆者撮影)

この日ハマスタのバックスクリーンに映し出されていたのはGAORAの映像。スカパー!の番組を受信できるテレビで受信して転送したものだ。

画面右下には「Tigers ai」のロゴが見える。阪神電鉄グループの映像制作会社・阪神コンテンツリンク社は、Tigers aiのブランド名で、タイガースの全ホームゲームの基本映像を制作している。NHKも含め在阪の地上波局は、Tigers aiの基本映像を購入することなく放映権を得ているが、GAORAは購入しているので、映像にTigers aiのロゴが入るのだ。

10月15日のパブリックビューイングの様子。右上に「GAORA」、右下に「Tigers ai」のロゴが見える(筆者撮影)

GAORAは7回裏の前を除く各イニング間に毎回CMを入れているが、ハマスタではCMの代わりに球団自前のカメラで映した客席の映像や、ゲーム中の映像から抜粋して作成した、ベイスターズの選手のみにフォーカスしたオリジナルハイライト映像を挟み込んでいた。

7回表前にはチアをグラウンドに下ろし、BGMで「熱き星たちよ」を流してジェット風船飛ばしをし、9回裏の山崎康晃投手登場の場面では、登場曲の「ケルンクラフト400」も流すサービスぶり。

ベイスターズの勝利が決まると、グラウンドの外野部分に用意されていたロケット花火の打ち上げも行われた。いつものハマスタのゲームの時と同じ演出だ。

自前の球場ならではのアドバンテージ

このハマスタでのPVは、甲子園開催のCSファーストステージ全3試合、マツダスタジアム開催のファイナルステージ全5試合、ヤフオク開催の日本シリーズ全3試合中1試合で実施された。CSのPVは2016年シーズンにもハマスタと神奈川県横須賀市の2軍球場・ベイスターズ球場で実施されている。このうちハマスタでは大学野球の使用日に当たっていたため、外周部にモニターを設置して実施し大盛況だった。

このため、2017年シーズンは「CS、日本シリーズ進出を信じて、開幕前から球場の日程を押さえていた」(球団広報)という。

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