LGBTをよくわかっていない人も学べる超基本 「周りに居て当たり前」動画配信で届ける情報
堀:そうした中で、今向き合うべき課題、テーマというのは何でしょうか。
分断や格差をなくし、議論を一歩前へ
村木:まず最初に、LGBTの取り組みがスタートしているところとしていないところがあって。スタートしていないところは何かがハードルになっているんですよね。たとえば、「行政でやるべきことなのだろうか」「学校でやるべきことなのか」「そもそもやるべき事柄なのか」という点で止まっていることが多いです。でも、ほかの学校や職場がどうやって乗り越えたのかを紹介してあげたら乗り越えやすいんじゃないかなと思いました。
堀:社会運動が広がっていく中で、いろいろな声が届くと思います。賛同もあれば批判の声や誤解もあったり。議論をすることはとても大切ですが、一方で分断を生んではいけないですよね。
村木:本当にそう思います。方向性を間違えないようにしないといけないなと思っています。特に「アライ(Ally:LGBTを理解し支援する人)」の方が「どう支援したらいいのか」と一生懸命になってくださるのはすばらしいことなのですが、「助けて」と言ってもいないのに「支援します」と言われても戸惑ってしまう当事者も多いのかなと。「アライ」は、「同盟」を意味する「ally」が語源です。当事者が本当にしんどそうなときに「大丈夫?」って声をかけてもらえればそれでいいのかなと思います。闘う方向を間違えないようにしないといけないですよね。
堀:間違いというのは、たとえばどういうことでしょう。
村木:たとえば、当事者同士がお互いに、ということでしょうかね。
堀:それを乗り越えていくのにはどういうことが必要なのでしょうか。
村木:当事者同士が一枚岩にならなくてはいけないとは思っていないので、それぞれがここだと思うことをやっていけばいいのではないかと思います
堀:100人いれば100通りのあり様がありますからね。
村木:確かにそうだと思います。そうは言っても、自分のことは話せるけれども、ほかのセクシャリティについて話せるかというと、そうではない。まだ自信がないという当事者の方もたくさんいます。そういう方にも、「レズビアンについての困りごと」「トランスジェンダーについての困りごと」などに特化しても作っているので、そういうのを見ていただきたいなと思います。
堀:港区でも同性パートナーシップ条例制定の請願が届けられました。活動がいろいろなところで活発になっている実感もあります。一方で、メディアの取り上げ方の格差もあります。積極的に取り上げるメディアと、まったく触れないメディア、村木さんにとって日本のメディアの課題についてはどう考えていますか?