火星より寒い米国の株価はちょっと熱すぎる チキンレースはいつか突然終わりを告げる

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したがって、先週の世界的な株高は、さしたる理由なく株価が上振れした(ということはこの先、さしたる理由なしに株価が下振れしてもおかしくない)が、上昇に理由を付ける必要があるので「世界景気回復期待」という材料がこじつけられている、と解釈すべきだろう。

そもそも、これまで当コラムで解説してきたように、米国株を予想PER(株価収益率)でみると、今年からの法人減税を勘案しても、すでに2017年末の時点で、企業収益から見て割高としか考えられない水準にあった。これが今年に入ってさらに割高になったわけで、危うい株価がさらに危うくなっただけだ。年初の世界株高だけをみて、2018年の株価上昇に確信が持てる、などという状況では、まったくない(ただし世界株価は、当面大きく下落してから2018年内にそれ以上の幅で戻ると考えており、筆者は同年を通じて株価が下落すると考えているわけではない)。

日本株に割高さはないが、またまた先物の吊り上げ?

日本株については、日本発の悪材料は今のところ特にないし、当面現れるとも見込みにくい。また、日本の株価は、予想PERでみて、割高とは言い難い。とは言っても、大発会の、特に日経平均株価の上振れは、違和感を覚えざるを得ない。

具体的には、1月4日(木)の日本株が上昇した理由として、日本が休場の間に海外株価が上昇したことが、安心感を広げた、と解説されている。
しかし、たとえばニューヨークダウ工業株指数はどうだったか。日本が大納会で2017年の取引を終えた後の12月29日(金)(日本の夜間)、2018年1月2日(火)、3日(水)の動きをみると(すなわち、3日(水)の終値の、2017年12月28日(木)終値に対する騰落率をみると)、わずか0.34%しか上昇していない。ナスダック総合指数の方が、やや上昇率が高いが、それでも1.66%だ。

もし大発会の日経平均株価の上昇率が1%程度であれば、「日本が休場の間に海外株価が上昇したことが、安心感を広げた」と言われてもすっきり納得できる。しかし、実際のこの日の日経平均は3.26%も上昇した。

加えて、年明けのNT倍率(日経平均÷TOPIX)は大きく跳ね戻っている。実は2017年10月の上昇相場の際も、NT倍率は急上昇していた。すなわち、当時日本株全体が上昇した背景として、企業業績の改善といった実態面からの支持材料はもちろんあったが、それを反映してTOPIXが着実に上昇した以上に、日経平均「ばかりが」吊り上げられた感が強かった。

つまり、2017年に日経平均が一時2万3000円を超えたのは、業績改善という実力に基づく部分はあったものの、そのうえに海外投機筋の日経平均先物買いという、「お化粧」がたっぷり乗ったと考えられる。

その後、年末はNT倍率が低下しつつ、日経平均は2万3000円手前で足踏みする局面が続いた。この展開は、国内長期筋などが、企業収益実態に基づいて個別銘柄を買い入れてTOPIXを支える一方、短期筋が日経平均先物の投機買いを手じまって、日経平均の上昇を抑え込んだためと推察される。すなわち、市場の「健全化」であったと言える。

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