火星より寒い米国の株価はちょっと熱すぎる

チキンレースはいつか突然終わりを告げる

ところが述べたように、特に大発会のNT倍率の上昇をみると、また海外投機筋による日経平均先物の買い吊り上げがかさんだのかと、かえって陰鬱な気分になってしまう。

米国株に「大寒波」が襲来するタイミングは不透明

では、いつ何があって米国株の大きな調整が生じるか、という点だが、さしあたっては株価を大きく動かしそうな大きな政治イベントはない。したがって、筆者の見通しがこれから実現するとしても、米国株価の調整入りのタイミングは、極めて見通しにくい。何の悪材料もなしに、すぐに株価が反落してもおかしくないし、まだしばらく株価の上値追い「ごっこ」が続いてもおかしくない。

ただ、一つの株価押下げ要因になりうると考えられるのは、エネルギー価格の一段の上昇だ。すでに米国の代表的な指標であるWTI原油先物価格は、1バレル=60ドルを超えてきているが、この背景には、冒頭で述べた大寒波がある。ただそれだけではなく、サウジアラビアとイランの関係悪化など、中東情勢が影を落としているように考える。エネルギー価格の上昇は、市場の物価見通しを変化させ、長期金利が上振れする展開を招きかねない。今の株価上昇は、低金利の長期債で運用しても十分な投資収益が得られないため、運用収益をあげようと株式に資金が流入していることに支えられている面がある。したがって、一段のエネルギー価格上昇が、株価反落のきっかけとなりうる。

「天底荒れる」という言葉を聞いたことがある。相場が天井や底を形成するような転換期では、強気と弱気が激しく交錯するため、短期的には市況が大きく上下する、という意味合いだ。現在の内外株式市況は、当面の天井に差し掛かり、目先は上振れも含めて、波乱の展開となりそうだ。そのなかで今週の日経平均のレンジは、2万3200~2万4000円を予想する。

ちなみに、今週の日本では、個人消費(およびその背景となる個人所得)関連の材料が多い。マクロ経済統計では、1月9日(火)に2017年11月の毎月勤労統計が発表され、このところ伸び悩み傾向をみせている、フルタイム労働者の給与前年比が回復するかどうかが注目される。また1月12日(金)には、2017年12月分の景気ウォッチャー調査が発表され、小売りやサービスの最前線にいる人たちの、景況感がうかがえる。

またすでに先週から一部始まっているが、2017年9~11月期の決算発表社数が多くなってくる。こうした企業には、小売りや外食など、内需系企業が多い。すでに足元の個人消費については、デフレ脱却の始まりともみえる動きが散見されている。たとえば、2017年11月の外食売上高(2017年12月25日(月)発表)は前年比3.9%増と、15か月連続の前年比プラスを記録した。さらに同統計では、客単価が上昇していた(前年比プラス2.8%)、あるいはランチよりディナーの方が、伸びが目立った、といったような、財布の紐が緩んでいるような動きがうかがえた。

また百貨店売上高については、これまでの牽引役はもっぱら外国人観光客のインバウンド消費だったが、足元の年末年始の商戦では、百貨店の期待通り福袋が人気を集めたことなど、日本人の消費動向における明るい動きも伝えられている。こうした個人の消費心理好転とも解釈できる動きのなかで、今週以降本格化する内需系企業の決算内容が堅調なら、仮に国内株式市況が軟調でも、内需系銘柄の株価が相対的にしっかりと推移することが期待できそうだ。

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