鎌倉市民が悩む「観光渋滞」は解消できるか 江ノ電実証実験や観光マイカー課金も実施へ
――周辺の逗子市や藤沢市との合意形成も必要なのではないか。
逗子や藤沢を含めた周辺に住み、鎌倉市の道路を日常的に使っている方々への配慮が必要だ。エリアプライシングは、観光の車の数を調整することが目的であり、日常使用を抑止することは目的ではない。具体的な制度設計はこれからだが、周辺エリアとの合意形成が、2018年度の大きな仕事になる。
――機器の設置等のイニシャルコストとランニングコストの負担は、どのようになるか。
財政的な負担は、基本的には鎌倉市の負担になるが、国も歩調を合わせてきていることもあり、活用できる補助金等も検討するつもりだ。
コストに関しては、2015年当時の想定額だが、機器設置等のイニシャルコストが15億円程度であり、これを3億円ずつ5年間かけて負担する。機器の維持等で発生するランニングコストは、年間3.6億円であり、合計すると、年間の総コストは6.6億円になる見込みだ。
一方、全ての土日祝日にエリアプライシングを実施し、課金額を1000円とした場合の年間収入は、18.7億円と試算されており、差し引き12.1億円の課金収入が見込まれる。
――エリアプライシングの具体的な導入時期は?
2019年度に実際に課金する実証実験を行う予定だ。2020年オリンピック・パラリンピックには導入を間に合わせたい。
飽和状態の江ノ電はどうするか?
――エリアプライシングは、自動車の交通量を減らし、代替交通手段に振り分ける仕組みだが、その江ノ電もすでに飽和状態だ。沿線住民が乗れなくなるなどの問題が生じているのではないか。
江ノ電と話をする限り、たしかにゴールデンウィークは飽和状態に達しているが、それ以外は、時間帯にもよるが、まだ受け入れられる余地があるという認識だ。ゴールデンウィークはどうすればいいかという話だが、自家用車が減る分、臨時バスを運行するなどの施策が有効と考える。
――現状、パークアンド・ライドが分かりづらく、利用されてないなどの声もある。また、そもそも情報発信の問題から存在を知らない人が多いのではないか。
パークアンド・ライドは、設置している4カ所全体で、年間1万4000台が利用されているという実績があり、これは、まずまずの数字だと思う。とはいえ、まだ、利用促進の余地はある。以前は旅行雑誌等に情報を載せるなどしていたが、費用対効果の観点から予算を削った経緯がある。ホームページの充実はじめ、情報発信の在り方も見直したい。
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