日本のインフレ率2%目標は必要だったのか

米国の物価新指標「UIG指数」をどう読むか

さらに、歴史的な税制改革と言われる大型の「減税法案」が議会を通過。個人に対する所得税も、期限付きではあるが、数多くの国民に恩恵をもたらしそうだ。米国の個人消費が、今後さらに拡大する可能性が出てきた。UIG指数が示すように、米国はすでに「インフレ」に突入している、ということかもしれない。

物価一つをとっても、さまざまな指数があり、異なる見解があることは留意したい。

「官製バブル」に振り回される日本経済?

ひるがえって日本の状況を見てみよう。政府の発表する数字を見ると絶好調だ。もともと日本は、リーマン・ショック以前からデフレに苦しんできたが、第2次安倍政権が2012年12月に誕生し、当時FRB議長だったバーナンキ氏などが推奨する異次元の金融緩和を実現させていく。

日本銀行の人事も刷新されて、黒田東彦総裁が誕生して「インフレ率2%を目標に2年でデフレから脱却する」と宣言した。いわゆるアベノミクスの第一の矢が放たれたわけだ。

これを受けて、2012年12月に始まったとみられている今の景気拡大局面が現時点で、「いざなぎ景気」(1965年11月~1970年7月)を超え、戦後2番目の長さとなる景気拡大局面となっている。

あれから5年、日本の消費者物価指数は目標とする2%にはまだ遠い位置にある。直近の消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、0.6%(総合指数、前年同月比、2017年11月)で低迷し、消費者物価指数から価格変動の大きなエネルギーや生鮮食品などを除いた「コアCPI指数」でも0.3%(同)あたりを低迷している。

黒田総裁も、当初日本銀行が「マネタリーベース(供給する資金量)」を260兆円にすれば、2%のインフレ率が達成できると豪語していたのだが、5年後の現在、その額は476兆円に達しているにもかかわらず消費者物価指数は、2%をかすめることさえできていない。

日銀の当座預金にはおカネがたっぷり供給されていて、しかも金融機関はマイナス金利で国債などの金利では稼げない。もし、今後景気が過熱してバブルが発生したとすれば、それは紛れもない「官製バブル」と言っていいだろう。

にもかかわらず、物価が上昇しない。最近になって、黒田総裁が「リバーサル・レート」に言及してしまったこともうなずける。リバーサル・レートというのは、金利を引き下げすぎると、銀行の利ザヤを縮小させ、自己資本比率が圧迫されて、かえって金融緩和政策を反転(リバース)させてしまう現象のことだ。

言い方を換えれば、アベノミクスが限界を迎えつつあるのかもしれない。

問題なのは、UIG指数の米国や英国のCPI=3%越えのように、将来のインフレを示唆するような兆候が日本にはまったくないことだ。

たとえば、安倍政権が始まる前と後とでは、スーパーマーケットで日常的に使った額が、わずかだが上昇したという感覚を持っている人が少なくないはずだ。たとえば毎回2000円台で買い物が済んでいた人は3000円台になったというようなケースだ。

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