日本のインフレ率2%目標は必要だったのか

米国の物価新指標「UIG指数」をどう読むか

そもそも、現在の世界経済を見渡すとリーマン・ショック以後の景気後退以降始まったデフレ経済から、物価に関してはきちんと立ち直った地域はほとんどないのではないか。ブレグジット(EU離脱)の影響か、2017年11月の消費者物価指数が3.0%を記録したイギリスはむしろ例外だ。

カナダ、オーストラリアなども、不動産など一部の業種でインフレ傾向が強まっているものの、すべての物価が上昇していく脱デフレには至っていない。

米国の物価は、総合的に見るとすでに目標達成済み?

FRBもコアCPIで見て物価上昇率が2%に届いていないのにもかかわらず、2017年だけで3回の利上げを実施し、さらに事実上利上げと同じ効果がある「バランスシート」の縮小にも、この10月から取り組んでいる。インフレ状態になっていないにもかかわらず、なぜFRBは利上げを急ぐのか。

その根拠の一つとして一部でささやかれているのが、「ニューヨーク連銀」が最近になって公開を始めた「基調的物価指数(UIG指数)」というデータだ。UIG指数とは、長期的に安定した動きを示す243の価格指数をベースに、企業の景況感や雇用統計、金融指数など、合計で346の指数を使って算出した物価統計指数のひとつである。

そのUIG指数の最新値は、2017年11月の段階で前年同月比2.8%に達している。

UIG指数は、FRBやニューヨーク連銀が公式見解として見てはいないことが明記されているものの、「物価」の見方の一つではある。日銀のホームページなどでは、コア指数の一種といった紹介をしているが、むしろCPIの先行指数的な意味合いが高い。つまり、今後の物価がどうなるのかを見るにはベターな数値と言っていい。

実際に、現在の米国経済は「絶好調」と言ってもいい。

2017年11月の「新築一戸建て住宅販売件数」では73万3000戸(商務省調べ、季節調整済み、年換算)で、前年同月比では26.6%の増加。住宅価格も同6.2%(ケース・シラー住宅価格指数、主要20都市、9月)と大きく伸びている。

新築住宅が、凄まじい勢いで販売されているのが現在の米国経済の状況だ。リーマン・ショック以前のように「借金してでも不動産に投資したほうが良いパフォーマンスを得られる」と考えて実行している人が多くなっているということだ。不動産市場に再びバブルが起きている可能性は否定できない。

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