松村邦洋50歳、「8カ月で30キロ減量」の舞台裏 いったい、どんなトレーニングを行ったのか

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一方、幕田氏は「最終的に“目的を達成しよう”と心を1つにすること」が、ライザップの特徴だと話す。ライザップのCMコピーに“結果にコミットする”という言葉があるが、それは実績に基づいたデータを背景に、トレーナー個人が顧客と向き合って“個人的な約束を交わす”ことに、その神髄があるという。

「私達のジムは唯一、“いつまでに”という期限を設けて、“何キロまで”という目標をコミットするというシステムを採用しました。現在でこそ累計9万5000人の情報を基にしたRIZAPナビゲーターによる確度の高い予測というバックボーンがありますが、それがないときから同じ仕組みを取り入れていました。減量のモチベーションを保つために必要なのは予測システムではなく、専属トレーナーがお客様に対して自信を持って“1対1の約束”をすること。それが、ライザップの減量プログラムでいちばん大切な部分だと思います。個人として約束することでメニューに創意工夫を施し、お客様も“そこまで言うなら頑張ろう”とついてきてくれるのです」(幕田氏)

プログラム修了会員への新サービスを提供

ところで「ライザップで痩せても、すぐにリバウンドするのではないか?」と思っている読者は多いのではないだろうか。肥満は生活習慣がもたらすものだから、元通りの生活習慣に戻れば、長期的には元の体型に戻るのは当たり前のことだ。

しかし、ライザップはトレーニングプログラムを修了した会員に対して「ボディマネジメントプログラム」の提供を2017年7月に開始した。

ライザップの各店舗に設置されたトレーニングマシン(写真:ライザップ)

このプログラムは月額2万9800円(税別)で、ライザップの各店舗に設置しているトレーニングマシン(パーソナルトレーニングを行うパワーラックとは別の、1人でも安全に使える複合トレーニング機材)を自由に使えるほか、月2回50分ずつのプランニングセッション、専用アプリを通じた管理栄養士による食事指導や相談、リバウンド保険(プログラム開始時と修了時の体重・体脂肪をもとに計算した基準値までリバウンドしたときに、2カ月16回のプログラムが無料になる保険)などが含まれる。入会時にこのプログラムへの加入を希望する人は実に8割というから驚く。

しかし、そもそもボディマネジメントプログラムに移行する会員が少ないのだ。なぜなら、ライザップ会員のうち6割は、そのまま継続してトレーニングを続けるからだ。実はライザップのビジネスが好調な理由はここにある。

顧客とトレーナーの信頼関係を築き、ライザップに通うことで自分だけでは困難なモチベーションの維持ができると思うからである。

フィットネス業界はライザップが巻き起こしたパーソナルトレーニングブームから、徐々にグループトレーニングへと事業の中心は移り変わってきているが、ライザップは減量を達成した会員に対して、美しいボディを維持するためのファンクショナルトレーニング、あるいはヨガといったプログラムを提供する別ブランドのサービスを展開し始めた。

その減量による喜び、驚きを通じて信頼関係を築き、高い継続率で安定した経営を行う。とかく“劇的な変身”ばかりがフィーチャーされるライザップのフィットネス部門だが、実は顧客との関係構築、結びつきの強さこそが彼らの強みなのかもしれない。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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