中国人観光客が「白タク」に乗りたがる理由

中国の高所得者層は渋滞でも「自動車通勤」

いつも友達に頼んで申し訳なくなり、お金で解決できることだったら喜んで支払うようになるからだ。快適に移動でき、素晴らしい風景を見て、現地にちょっと詳しい人とお喋りできる。観光行動がますます進化してきた中国人は、異国での車移動体験を1つの文化体験としても求めているのだ。

運転手付きレンタカーは日本では原則できないが…

日本でも車で移動したいと思う中国人は非常に多いと思う。東京・大阪の地下鉄は発達して便利だが、京都に行くとバスの乗り換えは難しい。もっと地方都市に行くと、1時間以上の間隔でのバス運行が多い。周りには何もなく、車がないと不安と不便だ。特に地方都市では、素晴らしい見どころ、有名なお店には公共交通機関だけではなかなか行けないことも多い。

実際、訪日中国人に話を聞いてみると、車で移動するニーズがますます増えていることがわかる。筆者がインバウンドを研究し始めた2015年は、乗り換え口に近い車両、乗り換えを間違えないコツなどの情報がSNSで飛び交っていたが、今は、おすすめの運転手付きレンタカーに関する口コミが多い。普段の生活で車移動に慣れてきたので、異国でいきなり自ら駅を探すとなると、ストレスが大きい。

自分は運転したくても、中国大陸の免許でレンタカーは借りられない。できたとしても、日本と中国では車線の走行方向も逆なので事故の起きる確率も高くなるし、運転のハードルも高い。大きなスーツケースを持ちながら町を歩く観光客を好まない日本人が多いと思うが、その本人も、実は買い物など戦利品を車に置いて気軽にショッピングや観光をしたいと思っている。

また、最近、子供連れ、親子連れ、あるいは三世代の家族旅行が増えたので、体力や安全性を考えると、全員が一台の車で移動するのが一番良いだろう。とはいえ、タクシーの貸し切りは高額だし、言葉が通じないので疲れる。そこで、在日中国人が運転してくれるサービスが好まれるようになったのだ。

普段通りの車移動、中国語交流、旅を楽しむ、安心できる家族旅行…。観光行動が日進月歩の訪日中国人が運転手付きレンタカーをますます求めることは自明だ。日本も観光立国を実現するため、訪日外国人に地方を楽しんでもらわないといけないので、彼らに楽々と移動できる手段を提供することは重要なはずだ。このようなニーズは、中国人だけではなく、米国発の配車アプリ「ウーバー」に馴染んだ他国の観光客からも求められているとみられる。

インバウンドを発展させるための方策として、今回述べたような「観光客の深層心理」を理解し、観光客のニーズに合ったサービス提供を図ることが必要だろう。しかしながら、今回紹介したケースでは、それが違法なやり方で提供されていることが社会問題となっている。

白タク行為を取り締まる一方、観光立国の実現に向け、中国人観光客がより訪れやすくなるような方策を「観光客の深層心理」を踏まえながら考えることも不可欠だ。

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