中国人観光客が「白タク」に乗りたがる理由 中国の高所得者層は渋滞でも「自動車通勤」
改革開放政策(1978年から鄧小平を中心として実施された経済政策)の成果として、およそ25年前の1990年代半ばから、一部の中国人は資産を持つようになり、洋画でしか見たことがなかった「車」を自分でも買えるようになった。当時自家用車を持つ人=富裕層であり、一般家庭から見ると手が届かない夢だった。
その後、所得の向上、安価な自動車の登場により、普通の家庭でも自動車を買えるようになったため、市場が爆発的に拡大した。
80後(1980年代生まれ)の子供が結婚する時、男性の家庭は新居を用意し、女性の家庭は新居の内装・家電代と自動車1台用意するのは、普通だった。90後(1990年代生まれ)の子供の場合、免許は大学時代に取得し、親の車を運転したり、あるいは就職後親から車をもらったりすることも多い。したがって結婚する際、双方が車を持つケースも多いので、最近では高級新車に買い換える選択肢も出てきた。
つまり、都市では、昔の夢であった車を持つことは人並みの経済力を持つ象徴で、メンツのためにも保有しなければならない。車はメンツの1つで、日本では禁止されていることも多い車通勤もごく普通だ。
中国の交通渋滞が酷いので電車に乗ればいいのではと思う人も多いだろう。実際、各地の地方政府は公共交通機関を発達させることに力を入れているし、電車に乗ったほうがずっと安くて早いはず。
なぜ、中国人は渋滞に耐えても車移動に執着するのだろうか。
低所得層は電車通勤の中国
「地下鉄を使えば20分で通勤できるが、やはり1時間半でも車での通勤がいい。だって、僕、地下鉄に乗る人達と違うから…。」
そう言ったのは、中国の映画制作に携わり、今は日本のエンターテイメントビジネスの中国進出で成功し、日中を頻繁に往復している30代の中国人実業家の男性だ。
「地下鉄にはいろんな人がいるでしょう。汚いし、うるさいし、僕は超富豪ではないが、一応成功しているので、そういうところに行きたくない。」それは、多くの中流以上の中国人のホンネだろう。
訪日中国人に日本の公共交通機関を利用した時の、いちばんのカルチャーショックを聞くと、「誰もしゃべらないし電話もしない」、「車両内も人々も非常に清潔感がある」、「朝ごはんの肉まんを食べる人がいない(匂わない)」がよく出てくる。
日本人の素晴らしい公衆道徳を象徴するところだ。国民全体の教育レベルの高いことと、「阿吽(あうん)の呼吸」で言わなくても通じるルールが日本中で共通していることで、どこに行っても同じ感覚が共有され、同じ行動が見られる。
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