中国人観光客が「白タク」に乗りたがる理由

中国の高所得者層は渋滞でも「自動車通勤」

一方、中国は56民族で構成され、共通するものが少ない。隣の村なのに言葉が通じない、風習・風俗もまったく違う人々、温水洗浄便座を使い始めた大都市とトイレさえない農村地域、留学して海外移住するのが当たり前の富豪令嬢と学校にいくお金がなくて仕方がなく出稼ぎ労働者になる少年…このように同じ国なのにまったく違う人々が生きている。

そして人々は都市部に集中し、彼らをつなげるのが公共交通機関だ。工事道具を持っている農村からの出稼ぎ労働者、数カ月分の給料で買った(あるいはボーイフレンドからプレゼントされた)ルイ・ヴィトンの新作バッグを持っているOL、孫の面倒を見るために初めて大都市に出て来た老夫婦、将来に不安を持ちながら夢を追っている大学生…。

中国の地下鉄は、格差が激しい各階層の人々が乗り合わせ、まるで仕事図鑑のようだ。その結果、清潔感が欠け、物乞いまで散見する。やむを得ず電車通勤をする人も多いので、ラッシュアワー時は想像できないほどの混雑だ。車両の混雑はもちろん、地上には駅に入るための数百メートルの人の列がある。乗降客が多い駅だと、改札に入るまで数十分かかるケースも珍しくない。社会見学としていいかもしれないが、実際毎日使うと思うと、やはり憂鬱になる。

このため、経済力がある人は公共交通機関より車を選ぶ。渋滞を我慢してでも電車に乗りたくない。お金を持っていない若者や事情がある人だけは仕方がなく電車に乗るのだと思う。それをわかれば、A教授が日本人は管理職ですら電車に乗ることに非常に驚いたことを理解できるだろう。

旅行も車で楽しみたい

日常生活だけではなく、海外旅行も車移動が普通だ。

中国人の中で日本観光はこの数年間で人気になったが、まだまだ行きたい国のなかでは、いちばんではない。より憧れる観光先は、ずっと欧米である。欧米旅行は、初期のツアー旅行から個人旅行にシフトし、観光先もニューヨーク等の観光定番都市からアウトドア旅行、大学見学旅行など多様化している。

アメリカの一部の州では、中国大陸で発行された運転免許でレンタカーが借りられるので、中国人観光客は気軽に行きたいところに行ける。アラスカのDalton Highway、カリフォルニアのHighway No.1、或いはアメリカ文化を代表するUS Route 66など、車をドライブしながらディープな観光ができ、非常に感動する。このような体験とアメリカのマルチビザ(10年間有効)との相乗効果で、中国から地理的には遠くはあるが、アメリカは、いつも行きたい観光国の上位にいる。

ヨーロッパでも、中国の免許で運転できる国が多い。スコットランドの草原、フランスの田舎のワイナリー、北欧のオーロラツアーなど…。

事実上、ヨーロッパの風景を楽しむためには、自動車で移動しないと無理だと言える。たとえ免許を持っていなくても、友達に紹介してもらった当地の中国人留学生の運転で移動し、ついでに地元スポットを案内してもらうケースも多い。このような「友達紹介」が増えると、ビジネスになる。

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