韓国でじわり日本映画が人気化している事情 永遠のテーマである「愛」は万国共通だ
韓国の全国紙文化部記者はその背景をこう解説する。「ダイナミックな映画を好む韓国人は、日本映画のじんわり、ゆっくりと進むストーリーに入っていけない人が多かった。『ラヴレター』はストーリーももう帰らない人から手紙が来るという意外性と美しい映像で韓国の人の心をつかみましたが、そういう映画が後に続かなかった。だから、日本映画=つまらない、というイメージが広がってしまったんです」
ところが、最近、日本映画の人気がじわりと復活しつつある。今年初めに公開された『君の名は。』は363万人の観客を動員するヒットとなり、10月下旬に韓国で開封された映画『君の膵臓を食べたい』は上映館数200館ほどにもかかわらずおよそ46万人の観客を動員した。
「『君の名は。』も、ジブリ作品などで日本のアニメーション人気があった下地もあって、親子で見られる映画として久しぶりに高い興行成績を収めました。それが弾みとなって日本映画に目が向いていたこともありますが、『君の膵臓を食べたい』はロマンスやラブ・ストーリーに飢えていた人たちを引きつけました。潜在市場にすっぽりはまったのではないでしょうか。
韓国映画界は、最近は特にハードボイルドな映画が多くて、ロマンスものやラブ・ストーリーものはあまりヒットしない、売れないというジンクスからあまり制作されない傾向が続いてきています。そのため、最近では、わざわざ日本に行ってロマンス映画を撮る監督も出てきているほどです。そうした市場を日本の切ないストーリーの映画が埋めていると思います」(同前)
『君の膵臓を食べたい』はご存じのとおり、日本でもベストセラーとなった、住野よる氏原作の同名小説を映画化したもので、膵臓の病気で余命を宣告された女子高生と、次第に一緒に過ごすようになった同級生との話だ。
「愛」は万国共通だ
日本と韓国は似ているところも多いが、当然だけれど異なる文化のため、感性に響くところも時に違う。ちなみに、日本でヒットした『シン・ゴジラ』も韓国で上映され、ヒットが期待されたが、結果は振るわなかった。
「波長が合わない、というか。それは韓国映画が日本で受け入れられる時も同じだと思います。やはり、永遠のテーマでもある『愛』はどの国でも通じるものがありますから」(同前)
韓国で最近人気の日本の映画監督は是枝裕和監督だ。2015年に韓国でも公開された『海街ダイアリー』は10万人の観客を動員し、今年12月14日に上映開始された新作『三度目の殺人』も好調だ。
日本ではドラマやK-POPなど韓流ブームが起きたように、日本映画を通じて韓国でも「日流旋風」が2018年に巻き起こるかも、しれない。
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