おつまみ大手「なとり」に迫るイカ不漁の危機 「家飲み」需要で絶好調だった業績にブレーキ
業績拡大を後押ししてきたのが家飲み需要の広がりだ。アサヒグループホールディングスお客様生活文化研究所が2017年6月に実施した調査によると、「家飲み」の頻度について「週2日以上」と答えた人の割合は計75%だった。ここ数年は同様の高い割合で推移している。
「週4回以上」という回答は40代52%、50代55%、60代61%、70代以上71%と年代とともに高まる傾向がみられた。会社帰りの一杯から家飲みを楽しんでいる層の拡大は明らかだろう。
埼玉県に新工場を竣工
さらに新製品の積極投入や「各エリアの嗜好に合った製品の重点投入」も業績拡大を下支えしている。新製品は春夏秋冬という季節対応のほか、ハロウィンスペシャルなどといった限定商品の発売にも意欲的に取り組んでいる。
主力のイカ関連をはじめ、「チーズ鱈」や「おつまみチーズアソート」「THEおつまみBEEF」「燻製ポークジャーキー」「茎レタス」など市場定着した製品も数多い。
おつまみの嗜好は地域によっても微妙に異なる。例えば、関東では濃い味、関西では薄味ベースが好まれるといった具合。そうしたエリア特性に対応した製品によって、スーパーやコンビニなど取引先のインストアシェアの拡大を図るという営業戦略で伸ばしてきたことも大きい。
また、華やかな芸能界にあって、堅実な女優という印象を持つ和久井映見さんを起用したテレビCMも同社のカラーを浮き上がらせ、販売促進に貢献している。
とりわけ、最近はジャーキーやドライソーセージなどの畜肉加工製品のほか、「チーズ鱈」やおつまみチーズなどの酪農加工製品の伸びが著しい。これらの需要増に対応し、埼玉工場(埼玉県久喜市)の隣接地に約50億円(建物・設備)を投じて新工場を建設し、今年7月に本格稼働させている。
これにより、旧工場はドライソーセージやジャーキーなど畜肉関連の主力工場とする一方、新工場は「チーズ鱈」をはじめとした酪農関連の専用工場として、拡大する需要に対応していくことが可能になった。
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