家賃滞納が今の日本で増えている深刻な事情

背後には貧困の連鎖、親子の断絶も

そんな家賃滞納者には2種類、目立つ人たちがいるという。1つは「家賃など払わなくても平気」と考える、モラルの低い人々だ。滞納が3カ月以上になると明け渡し訴訟が提起され、事前の催告を経て強制執行に至ることになる。強制執行では執行官、執行業者が室内にあるすべてのモノを撤去、室内をカラにしたうえ、住んでいる人も退去させられる。住む場所がなくなるわけで、普通ならそんな事態は回避したいと思うはずだ。

だが、そうした人々が慌てることはない。執行は催告から1カ月後と決まっており、その間は普通に住み続け、大体は直前に身の回りのモノだけを持って出て行くのだという。

「強制執行で室内に入ってみるとまだ温かい湯飲みが置かれていることなどもあり、直前まで普通に生活していたことがうかがえます。ランチ営業後に執行してくれと告げてきた飲食店では、ランチタイムで使った皿が汚れたまま積まれ、鍋の油がまだ熱い状態で経営者が出ていきました」と、太田垣氏は話す。

家賃を払わずに次から次へと引っ越す人も

強制執行にかかる費用は本来、執行される人、つまり入居者が負担することになっているが、家賃を滞納している人に払えるはずはなく、たいていは大家負担になる。それを防ぐ意味もあり、太田垣氏は入居者に連絡を取り、強制執行前の任意退去を勧めているが、彼らにとって強制執行は慣れたもの。

「聞くと親もそうだったというケースが多い。貧困の負の連鎖があるのです。そうした人たちは払えないなら払わなくていい、いざとなったら生活保護があると思っています」

しかも、強制執行に至る滞納をしていても家賃保証会社が保証してくれれば、次の住宅は借りられる。住宅ローンなどの場合、信用情報は共有されており、滞納があった場合には次を借りることは難しいが、家賃保証会社間の情報共有は極めて限定的だ。滞納をしても次から次に引っ越せば、家賃を払わずに住み続けられると考えている人もいるのである。

もう1つは、親子関係が悪い人たちだ。貧困と親子関係がダブルということもある。女性の場合は親が許さない結婚をしたため、夫が失業して逼迫するなどしても親に頼れず、滞納が始まり、どうしようもなくなるというのが典型的な例だ。

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