フランスとドイツから学ぶ真に安定した政治

大前研一が論じるポピュリズムの揺り戻し

欧州に先駆的な動きが見えます(写真:freeangle / PIXTA)
マッキンゼー伝説のコンサルタントとして世界的にも有名な大前研一氏。日立製作所の原子力技術者からマッキンゼーに転職後、弱冠32歳にして『企業参謀』(プレジデント社)を上梓し、日本においてコンサルティングという仕事を根付かせた第一人者でもある。
御年73歳にしてますます血気盛んの大前氏の頭脳は、年齢と関係ない。「世界の独裁政権に共通するリーダーの挙動」(12月22日配信)に続き、今年で累計30万部を突破、シリーズ5冊目を数える著書『大前研一 日本の論点 2018~19』から内容の一部をお届けする。

右傾化、独裁化にも、そろそろ揺り戻しがくる

近年、大衆の不安や不満を利用するポピュリズムが台頭し、世界は右傾化、独裁化の傾向を強めてきたが、そろそろ揺り戻しが出てくるのではないかと私は見ている。先駆的な動きが見えるのはヨーロッパだ。

たとえばイギリス。2016年6月の国民投票でブレグジット(EU離脱)を選択したイギリスでは、国民投票を実施したキャメロン前首相が戦後処理をせずに辞任してテリーザ・メイ首相が後を受けた。「離脱を成功させる」と決意表明したメイ首相はEU離脱の手順を規定したリスボン条約50条の規定に則って、2017年3月にEUに対して正式な離脱通告を行った。これで2年後には自動的にイギリスはEUから切り離されることがほとんど確定した。

国民投票前は「移民を制限できる」とか「ブリュッセル(EU本部)の言いなりにならないで済む」と離脱のメリットばかりが持ち上げられたが、ブレグジットが決まってからはあまりに大きすぎるデメリットが徐々に明らかになってきた。

「出ていくのは勝手だが、払うものは払っていけ」とばかりに滞納していたEU分担金7兆円の支払いを求められ、「イギリスにいいとこ取りはさせない」というEU27カ国の強固な結束ぶりを目の当たりにして、イギリス人の心境は大きく変わってきたのだ。再度、国民投票を行えば、私の見立てでは6割以上がEU残留を選択すると思う。

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