三菱ふそうが100億円の国内投資に動く理由 電動化やコネクテッドで商用車を進化させる
三菱ふそうは商品力にも磨きをかける。今年5月に約20年ぶりに刷新した大型トラック「スーパーグレート」は走行データを計測・送信するテレマティクス機能を備える。前述したQM Facilityには、国内の「スーパーグレート」約600台から収集したデータの解析を行う拠点を設けた。
リストセーヤ社長は「(設備は)航空会社のコントロールセンター並み」と絶対の自信を見せる。たとえば急ブレーキなどが多ければブレーキパッドの摩耗も早い。積み荷の過積載があれば重大事故につながりかねない。こうした故障や事故の兆候をリアルタイムで検知し、運送事業者など顧客にアドバイスする。輸送品質向上に貢献できることを同社製トラックの強みとして顧客に訴求する考えだ。
国内のトラック需要は2020年の東京五輪までは、建設・輸送需要が旺盛で比較的堅調に推移すると見られている。それまでにテレマティクス機能を備える大型・中型トラックやEVトラックで差別化を図り、小型に強みを持ついすゞや、中・大型に強い日野という国内2強の背中を追う。足元での国内シェア約20%を2020年までに25%に高めるのが目標だ。
不祥事教訓に品質向上への強い思い
総額100億円を超える大規模投資を打ち出した三菱ふそう。中でも品質向上には並々ならぬ思いがある。同社は過去にトラック部品の欠陥などから脱輪事故を起こし、度重なるリコール隠しで社会の信頼を失墜した経験があるからだ(三菱自動車のトラック・バス部門の時代も含む)。
QM Facilityの落成式典でも同社の松永和夫会長は「私たちは2000年代はじめに大変重大な不祥事を経験した。その経験と反省を踏まえて、品質の充実と強化に全社を挙げて取り組んできた。最新鋭の設備を備えた品質マネジメントセンターはこれまでの取り組みの集大成」と語った。
三菱ふそうが不退転の覚悟で挑む大改革は果たして実を結ぶか。
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