小池騒動が示す、「第二保守党」がダメなワケ 「都民ファースト」と「希望の党」の違い

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しかし、10月の衆院選では挫折を味わった。国政で第二保守党はなぜ、ダメなのか。

国政では自民党が大きく立ちはだかる。全国に支持団体、地方議員、党員を持ち、農協、医師会、建設業界といった団体の支援を受ける。1955年の結党以来、一時期を除いて政権の座にあり、官僚を使いこなすなど政権運営のノウハウを蓄積してきた。したたかな自民党に対抗するのは容易ではない。政権にある自民党と野党の第二保守党では、なかなか勝ち目はない。

政策ではどうか。自民党と第二保守党の政策は似通っているため、自民党との差異化が難しい。新自由クラブや維新が、社会保障や行政改革で独自の政策を打ち出しても、自民党はうまく取り込んでしまう。

選挙ではどうか。東京都に限って見れば、都議選で都民ファーストが自民党を打ち負かす事態は見られたが、全国規模で第二保守党が自民党をねじ伏せる組織力を備えることは考えにくい。10月の総選挙で、希望は自民党とリベラルの立憲民主党に挟まれて埋没してしまった。

政権交代の実現には、幅広い勢力を束ねること

自民党が政権を失った2度の例を見てみよう。1993年の衆院選では、自民党が過半数を割りながらも、第一党を維持。これに対して、自民党を離党したばかりの小沢一郎氏が多数派工作を進め、日本新党を率いる細川護熙氏が首相となる非自民連立政権が誕生した。小沢氏ら自民党離党組から、社会党、公明党など幅広い勢力を糾合した政権であり、「第二保守」を目指す政権ではなかった。

2009年の衆院選では、自民党が惨敗して民主党が第一党となった。民主党を中心に福島瑞穂氏の社民党や亀井静香氏の国民新党が連立政権を組んだ。これも、自民党出身者から社民党まで幅広い勢力による連立だった。

過去の例から学べるのは、第二保守党が自民党に代わり単独で政権を担うことは困難であり、自民党に対抗できるのは保守からリベラルまで幅広い勢力を束ねていくしかないという現実だ。

もっとも、細川政権も民主党政権も、ともに内紛が絶えず、短命で終わってしまったことも、厳しい現実である。政権を奪取しても、「寄り合い所帯」であれば、安定した政権運営ができない。有権者もそうした実態を見通しているので、非自民勢力の連携には厳しい視線が注がれる。

立憲民主や希望、民進など非自民勢力は、過去の教訓と厳しい現実を学び、野党再編を進めていかなければならない。

星 浩 政治ジャーナリスト

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ほし ひろし / Hiroshi Hoshi

1955年生まれ。東京大学教養学部卒業。朝日新聞社入社。ワシントン特派員、政治部デスクを経て政治担当編集委員、東京大学特任教授、朝日新聞オピニオン編集長・論説主幹代理。2013年4月から朝日新聞特別編集委員。2016年3月からフリー。同年3月28日からTBS系の報道番組「NEWS23」のメインキャスター・コメンテーターを務める。著書多数。『官房長官 側近の政治学』(朝日選書、2014年)、『絶対に知っておくべき日本と日本人の10大問題』(三笠書房、2011年)、『安倍政権の日本』(朝日新書、2006年)など。

 

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