三越伊勢丹、「冬セール」6年ぶり前倒しの衝撃

今冬は1月4日、同業他社と歩調合わせる

セールの後ろ倒しには、他社が大々的にセールを行う間も正価で勝負できる販売力が必要になる。特に問題なのは不振の続く地方店。地方店からは「セール時期を戻してほしいという声が上がっていた」(幹部)。

11月に中期計画を発表した杉江俊彦社長。だが、計画は具体策に乏しいものだった(撮影:今井康一)

在庫処分を優先する側面もある。大西路線から決別しリストラを急ぐ杉江社長は、独自商品の拡大を見直す一方で「今期はこれまでにない規模で在庫処分をする」と宣言。セールはその絶好の場となる。

取引先のアパレル各社も、三越伊勢丹の方向転換を歓迎する。あるアパレル関係者は「他社と時期をずらしてのセールは、その対応に手間がかかっていた」と話す。ネットでの衣料販売が急拡大する中で、三越伊勢丹だけを特別扱いする意味が薄れていた面もある。

見えない営業力強化の道筋

セール時期の後ろ倒しは、JR東日本傘下のファッションビル、ルミネも取り組んできた。大西氏とともに陣頭指揮に当たった花崎淑夫・元ルミネ会長は、「商品の魅力を高めて正価で売るのが商売の王道。ファッションのビジネスモデルを変える最後のチャンスだった」と指摘する。ただそのルミネも、冬のセールに関しては昨年から通常時期に戻している。

セールの後ろ倒しは、勝ち組だからこそできる戦略だった。だが今の三越伊勢丹にはその余力がなくなっている。そして営業力強化の道筋は見えないままだ。

社内では別の異変も起きている。年始の仕事始めに流す恒例の社長メッセージを取りやめるというのだ。商売のしきたりを重んじる百貨店にとっては異例中の異例。関係者からは「トップが何をやりたいのかが見えない」という声が多い。杉江社長は次の営業戦略を早急に提示する必要がある。

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