京香は、高村をすでに好きになっていたので、必死で追いかけてくるメールを読むと、もういてもたってもいられなくなった。
「私、彼に会って今の気持ちを包み隠さずに話してきます。そうじゃないと私も気持ちのケジメがつかないから」
そして、高村に会いに行ったのだが、その夜、京香は私にこんなメールをしてきた。
「彼は、1パーセントの天然バカでした。保険を勧めたことも、お財布を忘れてデート代を私に借りたことも、まったく悪気がなかった。本当に天然バカとしか言いようがないです。でも、私はその天然バカを好きになってしまいました。こんな人だから、会社ではこれから出世しないかもしれない。結婚したら苦労するかもしれない。でも、それでも、私の人生を彼にかけてみようと思います!」
それからまもなくして、高村にプロポーズをされた京香は、それを受け、成婚退会をしていった。
※実は、これは2年前の話だ。成婚したのが一昨年8月の半ば、11月に入籍をしたら、暮れには妊娠がわかり、翌年の8月には男の子を出産した。時折親子3人の仲睦まじい写真がメールで送られてくるのを見ると、本当にほほえましくなる。時には互いのご両親が写真に一緒に写っていることもあり、孫を見つめるジィジ、バァバの瞳は優しくて温かい。
“結婚詐欺かと思ったら実は違っていた”
今回のような話は、希有だろう。相手を好きになっていると、「嫌われたくない」「この人と結婚したい」という気持ちが強くなる。詐欺師は、そこを突いてくる。詐欺師の手口の一連の流れは、こんな感じだ。
甘いことを言ってまずは気持ちをつかむ→体の関係になってさらに情を入れる→相手が夢中になったら、いったんどん底に落とす(資金繰りがうまくいかないから〇月の結婚は延期したいなど、相手が楽しみにしていた日程をわざと延期する)→そこで危機感、飢餓感を募らせる→甘い言葉をかけてすくい上げる(「でも、いくらいくらおカネがあれば結婚はできる。頼りになるのはアナタだけ」など)→おカネを引っ張るための提案をする。
結婚詐欺に遭わないためには、カップル間でおカネの貸し借りの話が出たとき、契約や商品の購入を勧められたときには、必ず第三者に相談することだ。
筧千佐子被告とかつて見合いした80歳の男性は、「息子に相談をしたら、『それは話がおかしい』と息子が結婚相談所に通報し、相談所から筧に連絡があったことで付き合いが破断になり事件に巻き込まれずに済んだ」と、以前ワイドショーの取材で答えていた。
「自分は絶対に大丈夫!」と思っていても、人を好きになっているときの心理状態は、やはり冷静な判断がつかないものだ。婚活中の人は、一人ひとりが気をつけてほしい。
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