ダメな投資家がこだわる「3つの誤った常識」 日経平均株価は年末に2万4000円台へ

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1997年の政策失敗により、日本経済は真性デフレに陥った。この中で戦ってきた投資家の間で次第に出来上がった「3つの投資常識」がある。

1番は何と言っても「株は持ち続けるものではない。上がれば売るもの」という常識だ。個人投資家の売買動向を見ると、2009年から2017年(11月第4週まで)の間、2013年の11兆7282億円の売り越しを筆頭に、9年連続の売り越しで、その売り越し総額は41兆9464億円(岡三証券調べ)にもなる。

2番目は、「PER(株価収益率)は13倍~16倍」という常識。20年間でも初めの頃は20倍前後もあったが、次第にこのPERゾーンになった。

3番目は、海外投資家の日本株への評価だ。「ROE(自己資本利益率)の低い非効率な日本企業」というレッテルをはり、日本的経営を全否定した。グローバルファンドの日本株組み入れは、MSCIベンチマークの8%を完全無視し3~4%が常識になった。組み入れゼロのファンドまで多数出現したくらいだ。バランスシート改善がデフレ時代の日本企業の生き残りの手段だったが、今はまともな攻めの経営ができるようになり、「増収増益経済」が出現している。日本的経営の見直し機運も出始めた。

「今ある常識」を頼っていては、道を間違う

日経平均株価は、この真性デフレ突入前の1996年の高値を抜け、次の展開を待っている。この時に、「今ある常識」に頼っていては道を間違うと思っている。これからの投資家は新しい常識を作っていかなければならない。まずは、「株は売るもの」ではなく「買うもの」になるのか注目したい。「NISA(少額投資非課税制度)口座が思わぬ収益を上げている」というマスコミ報道が待たれる。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用状況も、マイナスの時は鬼の首を取ったように大々的に報じるが、大きな収益を上げている時には「1行ニュース」にしかしないマスコミの報道はいかがなものか。

さて、当面の相場だが、日本株の大きな流れの変化に期待するが、前述のように、日々のトレードでは米国株を見ながらということになるのはやむを得ない。今週は米雇用統計の週(現地時間8日発表)だ。関連指標も発表される。そして税制改革法案の上下両院の調整、政権中枢にいた前大統領補佐官マイケル・フリン氏のロシア疑惑証言等入り乱れての1週間となる。

もし相場が大きく崩れるような場合は、12~13日のFOMC(米連邦公開市場委員会)ですかさず動きがあると思われる。また「明確な理由」がある時には、意外に株価は下がらないものだ。

一方、日本は早くも「メジャーSQ」だが、それを越えての年末高で、「日経平均株価2万4000円台での2017年フィニッシュ」というのが筆者のシナリオだが、さてどうなるか。仮に年末に達成できなくても、2万4000円は2018年上昇相場の通過点に過ぎないと思っている。今週の日経平均予想レンジは2万2400~2万3100円としたい。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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