日本人は「軍事的常識」が著しく欠如している 「集団的自衛権」の理解もまちまち

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──もともと米国の軍事戦略も定まっていない?

米国には日本と違って戦略家と称する学者たちがいる。戦略家たちがいろんな意見を出し、政府はその中から意見を拾っていくが、今の時点で方向性が確立しているとは思えない。

米国から最近帰ってきた人の話によると、北朝鮮だけでなく中東問題を含めてトランプ大統領は何をやるかわからないが、3人の良識派がついているのには希望が持てるとのことだ。

3人ともアフガンでの経験がある

──「軍人トリオ」ですか。

ケリー大統領首席補佐官、マクマスター大統領補佐官、マティス国防長官の3人の新旧将軍。3人ともアフガンでの経験がある。ケリー氏は退役海兵隊大将。マクマスター氏は現役の陸軍中将で国家安全保障問題担当、50代と若い。将来、大将に当然なるだろう。マティス国防長官も退役海兵隊大将だ。これに加え元大物実業家のティラーソン国務長官、ペンス副大統領にも期待できると。

今年夏のキャンプデービッドでの会合で、トランプ政権はアフガン増派を認めた。現存米兵1万人に加え4000人をアフガン兵の教育のために新たに出す。そして教育したアフガン兵と政府とでタリバンとの和解を進めると。

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──中でもマクマスター中将の評価が高いですね。

90年代初頭に湾岸戦争で装甲騎兵の中隊長として活躍、銀星章という日本の戦前の金鵄(きんし)勲章相当を受けている。その後、大学に行き有名な論文を書く。「クラウゼヴィッツの言ったとおり、戦争は政治の延長である。テクノロジーで片付くものではない。そこには人間がいる、味方がおり敵がいる、住民がおり友人がいる。それはまさに政治であり人間である」と。

──中国に対しては海軍系が厳しい見方をしているとか。

トランプ大統領は米国ファーストと言っているが、本当にファーストになれば米国中心の秩序を押し出してくる。米国の経済は金融で動いている。金融中心であるかぎり米ドル札をたくさん刷り、それをいちばん持つのは中国だ。けんかを始めたら米国の経済もだめになってしまうから、米国一極は当分変わらない。そういう中にあって具体的戦略は大小の波のように動いている。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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