日本の自動車メーカーが生き残る道は、ある 成毛眞がアタリ流に未来を予測!

拡大
縮小

特に技術的なことは複雑だし、公表する側が重要な部分を意図的に隠している場合もあるので、ネットニュースの見出しだけを拾い読みしてわかったような気になるのは危険だ。

GPSの誤差は数センチメートルになった?

たとえば、この8月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた「みちびき3号」。これで日本もようやく自前のGPS衛星を保有する国になったとか、対応するiPhone7(取材時)のGPSの精度が上がって誤差が数センチメートルになったというような話を本当だと思い込んでいる人が実に多いが、実際はそうではないのである。

まず、みちびき3号は、アメリカのGPS(全地球測位システム)の精度を高める測位衛星であって、日本版のGPS衛星ではない。

さらに、iPhone7はクアルコムのGPSチップを使っているので、アメリカのGPSとともにみちびき3号の出す、GPSを補正する信号を受信することが確かにできる。それゆえ、精度はセンチメートル単位まで向上するのだが、問題は、送られてくる信号が国土地理院の電子基準点からの補正データという点だ。

そのためにiPhone7に到達するまでに10数秒のタイムラグがどうしても発生する。10秒あれば時速60キロメートルで走っている車は、166メートルも進んでしまうんのだ。つまり、誤差数センチメートルといっても実際には、現在の10メートルの測位レンジと大して変わらないのである。

本当に誤差が数センチメートルなら自動運転にも使えるが、いまはまだ無理と言わざるをえない。一般のスマートフォンユーザーにしてみれば、みちびき3号の恩恵といっても、せいぜい『Ingress』のポータルや、『ポケモンGO』のジムがふらふらしないで表示されるようになるくらいだろう。

また、最近はフォルクスワーゲンや神戸製鋼所のように、社会的権威のある企業までが意図的にデータを改ざんしていたりする時代だから、世に出ている情報だけですべてを理解するのは、最初から不可能だと思っていたほうがいいかもしれない。

次ページ世界は、一斉に電気自動車に舵を切った
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT