働くLGBTや就活生が求める「安全感」の本質 日本企業の対策と意識はどこまで進んだのか

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「すごく説得力があるし、働くイメージを持つことができた」と話す大学生(筆者撮影)

ゲイだけど、それが重要なことじゃなくなってほしい

イベントに参加していたゲイの大学生である江藤祐樹さん(仮名)は、来年就職活動を予定している。企業のブースを訪れてみて「実際に当事者の方が話を聞かせてくれて、すごく説得力があるし、働くイメージを持つことができた」と話す。

家族にはゲイであることをオープンにしておらず、身近な友人にのみカミングアウトしている江藤さん。現在インターンシップとして働いている会社では、「彼女いるの?」や、「将来結婚するときはこういう女性を選んだほうがいいよ」といったことを言われることが多いと話す。

「こういう話に付き合わなきゃいけないのは嫌だけど、かといって『ゲイです』とは言い出せず、めんどくさいなと感じています。オープンにできる企業があるなら、後々楽なのかな」と、できればゲイであることをオープンにして働きたいという。

とはいえ、面接でカミングアウトしたいかと聞くと「迷っている」と江藤さん。「企業にゲイだからこうしてくださいというのはないのですが、ゲイだということで自分を判断してほしくない。カミングアウトしてもいいし、しなくてもいい。それが重要なことじゃなくなってほしい」と語った。

work with Prideで登壇した日本テレビの谷生さんと、RAINBOW CROSSING TOKYOで出会ったゲイの大学生の江藤さんに話を聞いてみて、感じたことがある。それは、両者が求めているのは、「心理的安全」が確保できるかどうかということだ。

LGBTを理解し、支援したいと思う人を「同盟」や「味方」という意味を表す「ALLY(アライ)」と呼ぶが、日本テレビの谷生さんにとっての上司はこのALLYに当たる存在だろう。「この人にだったらカミングアウトしてもいいかもしれない」と思える人が組織の中にいることは大きい。

その上司は、ほかに社内のどの人にカミングアウトしたほうがスムーズにことが進むかを考え、根回しもしてくれたそうだ。たとえ会社に制度が整っていなくても、一緒に考えてくれる人がいるということは当事者にとって非常に心強い。

当事者が会社でなかなかカミングアウトできない理由として、「もし否定されたら」とか、「否定されなくても人事評価に影響がでたらどうしよう」と、ネガティブな影響がありうるかもしれないということをよく聞く。

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