利用税廃止を求めるスポーツ庁の資料によると、2015年の都道府県に入るゴルフ場利用税は475億円に落ち込み、そこから市町村への交付金は332億円だったという。ゴルフ人口減少が影響しているとはいえ、交付金として受け取る関連市町村にとっては貴重な財源になっていた。
ただ、これは衛藤会長が指摘するとおり、「おかしい」話だった。消費税と利用税の二重課税になっている。スポーツに税金をかける国はそうないだろう。野球をやるたびに消費税以外に税金が取られたらたまらない。
不可解な存続の理由
そして何より、これまでの存続の理由がおかしかった。ゴルフ場への行政サービスをうたっているが、実はゴルフ場にかかわる道路整備、環境対策、防災対策などを、自治体が利用税で行っていると主張する部分は、多くをゴルフ場が別途負担したり、ゴルフ場以外への対策が主だったりする。
結局、全体の行政サービスにゴルフ場利用税を当てにしていることに対して、理由を作っているにすぎない感じがしていた。ゴルフ場利用税はおかしいとわかっていながら、既得権、もらえたものがゼロになったら困るという理由だけでの存続だったといえる。
決議案によると「国民の1割が楽しむ生涯スポーツとなり、ゴルフ料金の低廉化傾向があることから身近な大衆スポーツであり、ゴルフ利用者の半数以上が年収500万円以下であることから、ゴルフ場の利用者に特段の担税力を見いだすことはできず、もはや贅沢なスポーツではない」としている。
ゴルフ界の高齢化、団塊世代の退職で、これはたぶん多くの年金生活者がゴルフを楽しんでいることも関係しているのだろう。確かにゴルフ料金は低価格競争にもなって利用しやすくなっているが、それがゴルフ場経営を圧迫しているのも事実だ。
今回決議案を出すにあたって、これまでと違うのは「代替案」を示していることだろうか。廃止を望むスポーツ庁の要望によると、2015年を基に利用税約480億円、交付金336億円(利用税のうち7割が交付金となるため)が廃止された場合をシミュレーションで提示している。
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