警告!次の震災は国民の半数が被災者になる 名古屋の名物教授が訴える大地震への備え

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3年ほど前から、福和教授は「ホンネの会」なる集まりを名古屋で主宰し始めた。最初は単なる飲み会だったが、メンバーは福和教授と旧知の製造業、電力会社、ガス会社の各防災担当者。酒が進むうちに、1人が「実は……」と自社の防災対策の不安を語りだしたら、それを聞いた別の1人が「実はうちも……」と打ち明けたのがきっかけだったそうだ。

平時は依存し合っているのに、防災は自己完結できる?

オフレコで「ホンネ」を言い合う会(筆者撮影)

「電気が止まっても、ガスで発電できるから大丈夫だよね」と製造業が言えば、「いや、電気がないとガスは造れない」とガスの担当者が言う。しかし電力会社は「そもそも水がないと全部ダメだ」と白状した。つまり互いが依存し合ったり、外部に頼ったりしているにもかかわらず、防災は自分のところだけでやってきたことを明かしたのだ。

福和教授はこのやり取りを聞いて「産業界の震災対策はダメなところがいっぱいだ」「でも正直には言いにくいんだ」と感づいたという。そこで企業のほかに自治体の担当者らも加えて、オフレコで「ホンネ」を言い合う会を設定。「自分の組織の悪いところを正直に話す」「ウソはつかない。答えにくいことは答えなくていい」などのルールを決め、福和教授の司会で出席者が赤裸々に語り始める。

ひとしきり話し合うと、「次は部品メーカーのことを聞きたい」「石油会社の様子を聞きたい」「道路や水、通信や物流を知っている人もいないとマズイよね」などの声が上がり、どんどん人が呼び込まれるようになる。現在は70以上の企業や団体の関係者が集まる会に発展している。

マスコミ関係者は入れないため、その実態はほとんど表には出ていないのだが、会の成果の一部は、すでに形になっているそうだ。

危機感を共有した会社同士が協定を結んだり、設備を改修したりする動きが出始めた。名古屋大学自体も、防災面の産官学連携をさらに強化する「あいち・なごや強靱化共創センター」という組織を今年6月に新設。企業のBCP(事業継続計画)作成支援や、災害対応に当たる自治体職員の研修などを大学で引き受けることになった。

「ホンネの会で議論したことを、社会に公式に発信し、実践につなげていく体制」の1つなのだという。

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