「格安スマホ」人気に陰りが見え始めた理由

ドコモ、au、ソフトバンクが相次いで反撃

その一方で、ほかのMVNOがまねるのは難しい施策を取ることで、顧客や収益の基盤を拡大する戦略を取る企業も出てきている。

その1つがインターネットイニシアティブ(IIJ)だ。IIJはすでに個人・法人を合わせた契約数が200万を超えているMVNOの大手だが、個人向けの「IIJmioモバイル」は今年に入り四半期ごとの契約純増数が1万を割り込んでおり、厳しい競争を強いられている。

IIJが目指すのは「フルMVNO」

そこで同社が力を入れるのは、法人向けビジネスだ。そのために進めているのが「フルMVNO化」である。従来、ネットワークを貸す側の通信キャリアーが持っていた加入者管理機能をMVNO側が持てるようにすることで、SIMカードを自社で発行できるようになる。同社は昨年8月、フルMVNO化の準備としてドコモと加入者管理機能で連携する契約を結んでおり、来春のサービス開始を目指している。

IIJは自社で直接SIMを発行できる「フルMVNO」としてのサービスを来春に開始し、法人向けビジネスの拡大を目指す(筆者撮影)

フルMVNOには、どのようなメリットがあるのか。SIMを自社で発行できれば、「eSIM」にも通信サービスを提供できる。eSIMは「組み込み型SIM」とも呼ばれ、スマホに搭載するSIMをより小型のチップに収めたもの。最近はIoT(モノのインターネット)化の流れを受け、eSIMを搭載した自動車や建設機械などが増えている。

eSIMの特長は、カードを入れ替えることなく遠隔操作でキャリアーを変えられるという点にある。たとえばeSIMを搭載した海外製の機器を日本に持ち込んだ場合でも、すぐにIIJのサービスを利用できるようになる。

遠隔でeSIMの切り替えを行うには、自社でSIMを直接管理できるフルMVNOになる必要がある。フルMVNO化の実現には高度なネットワーク技術と大規模な投資が必要なことから、企業規模の小さい多くのMVNOにとっては追随が難しい。フルMVNOになったIIJはMVNOの中で唯一、IoTに対応した法人向けサービスの提供が可能になるという優位性を得られるわけだ。

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