公立中高一貫校に強い塾は何を教えているか

ひとり勝ち「enaの授業」からわかること

そんな中、東京都の公立中高一貫校対策で、群を抜いた実績を残す学習塾がある。「ena」である。

東京都にある公立中高一貫校11校への2017年の合格者総数は738人。総募集定員に対するenaの合格者占有率は約5割。西東京の多摩地区の4校に限れば、占有率は6割を超える。全国的に見ても、公立中高一貫校対策でこれだけの実績を上げる塾は珍しい。

そもそも塾での対策は難しいといわれていた公立中高一貫校の適性検査問題をどのように攻略したのか、どのような教材を使っているのか、どんな授業が行われているのか。

偏差値60くらいまでの私立中にも対応可能!?

それを徹底取材してまとめた拙著『公立中高一貫校に合格させる塾は何を教えているのか ひとり勝ち「enaの授業」から分かること』でも詳しく解説しているが、enaの公立中高一貫校対策コースは、基本的に小5~6の2年間で構成されている。そのカリキュラムは、私立中学受験塾とはだいぶ違う。そもそも算数・国語・理科・社会のような教科別にはなっていない。

最低限の授業だけに絞るなら「適性理系」「適性文系」「作文」の3種類の授業を週2回の通塾で受けることができる。実際にはオプションの授業もとって、小5で週3回、小6で週4回の通塾がスタンダードとなる。

教材はオリジナル。その内容が、私立中学受験用テキストとはまるで違う。たとえば小6の「適性文系」のテキストの上巻は、「地図を読む」「資料を読む」「調査する」などという単元から始まり、「ごみについて考える」「人口について考える」などという単元も出てくる。理系でも「実験結果を読み取り考える」「条件に合わせて考える」などの単元が並ぶ。

一通りの授業を見学し、書籍の中でレポートしているが、授業の印象を一言で言うならば、一般的な難関私立中学受験塾のそれと比べるといい意味でゆるい。宿題の量も少ない。

一つひとつの問題にじっくり時間をかけ、しかも生徒の発言によって授業がどんどん脱線することをよしとしている。適性検査問題で試されるのは、1つのインプットから1つの正解を導く能力ではなく、1つのインプットをきっかけに頭の中でさまざまな情報をつなげ、自分なりの答えを書く能力だからだ。

それでいて「公立中高一貫校だけでなく、偏差値60くらいの私立中高一貫校にも対応できる」とのこと。しかも昨今は私立中高一貫校のほうが、適性検査に似た問題を出題するケースが増えてきた。

2017年9月に首都圏模試センターが調べた情報によれば、2018年の中学入試では、関東地方の私立中高一貫校のうち、約80校が適性検査型の入試を実施する予定である。形式こそ適性検査とは違うが、いわゆる4教科型の入試ではない「思考力入試」や「総合型・教科横断型入試」を合わせるとその数は130校にもなる。大学入試改革の流れを受けた地殻変動が起きているのだ。

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