あの築地が「はしご酒」のメッカを狙うワケ うまいのは魚だけではない!

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はしご酒は、先ほどの松本さんと伊藤さん、そして卵焼き屋店「本玉小島」の小島英明さんの有志3人で話し合って始めたイベントで、今でもこの3人だけで切り盛りをしている。法人化などはしておらず、完全に3人の手作りのイベントで、築地の商店会組合ほか、既存の団体からの支援も、いっさい受けていないという。「街の人からは、時々『お前らよく頑張ってるな!』と声をかけてもらうことはありますが、それだけですね(笑)」(伊藤さん)。

参加者は本願寺で受付をすることになっている(編集部撮影)

今でこそ45店舗が参加する規模にまでなったが、初年度の参加店を集めるのにはかなり苦労したそうだ。「いろいろな店に夜な夜な飲みに行っては、『こんなイベントやるんですけど、参加しませんか?』と声をかける日々が続きました」(松本さん)。

大手チェーンには声をかけない

店選びの際には、自分たちで実際に足を運び、自らの舌で試し、気に入った店のみ参加をお願いしてきたのだそうだ。回を重ねるにつれて、参加したお店がほかのお店を紹介してくれるケースも増え、2年目以降は順調に参加店舗が増えたらしい。

参加店舗リストを見ると、チェーン店など大資本の店や、メニューにすししかない純粋なすし店はない。これらのお店は意図的に声をかけないようにしていて、今後も参加してもらう予定はないそうだ。

実はオール築地のイベントといいながら、昨年までは場内市場の店舗は参加していなかった。が、今年から、「築地魚河岸」のフードコートに入っている4軒も、はしご酒に参加する予定だ。

築地魚河岸は、昨年11月に築地の場外市場内にオープンした新市場。場内市場が移転するにあたり、地元の中央区が造ったもので、1階には50店舗以上の仲卸問屋が店舗を構え、プロ向けの卸売りと一般向けの小売りを行っている。3階にはフードコートがあり、場内市場にあるお店が運営している飲食店4店も居を構えている。

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