ゴディバと森永製菓、どちらがおいしいのか 目隠しチョコテイスティングでわかったこと

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結果は、「最初に食べたほう(ゴディバ)が好き」と答えた人が17人。「後から食べたほう(森永)が好き」と答えた人が18人だったのである。つまり、好みはほぼ完全に二分された。教室は「えーっ」「やっぱり~」などという声でどよめいた(ブラインドテイスティングの模様は、動画でも収録。詳しくはこちら)。

意外な結果に「えーっ!」と驚く学生や先生。東京経済大学の石川・金合同ゼミで(写真提供:スパークス・アセット・マネジメント/瀬尾泰章)

聞いてみると、ゴディバが好きと答えた人たちの感想は、「滑らか」「食べなれた味」「程よい甘さ」であり、一方の森永製菓が好きと答えた人たちは、「香りと味が好み」「甘さが優しい」「甘さが程よい」というものだった。もちろん味覚は人によって異なる。なので、好き嫌いが分かれるのは当然である。だが、注目したいのは、獲得票数が両者ともほとんど同じだったということだ。

「8倍の価格差」を、どう考えればいいのか

実はここに、今の日本の株式市場が抱えている問題点が隠れている、というのは大げさだろうか。

ゴディバの「カレ アソートメント」の値段は、1グラム当たり24.4円。これに対して森永製菓の「カレ・ド・ショコラ」の値段は、1グラム当たり3.1円で、両者の間にはなんと約8倍もの価格差がある。これだけの価格差があるのにもかかわらず、どちらが好きかという答えは、ほぼ半々となった。もちろん、たった35人の結果といえば、それまでだ。また、ミルクやカカオの含有量などを事細かに比べてはいない。「ゴディバ17対森永18」という事実を、どう解釈するかだ。

「このブラインドテイスティングの狙いは、ブランド力と企業価値について考えることにある。興味深いのは、好みが二分されたこと。これは、2つの商品の価格差ほど、クオリティの差があるわけではないことを示している」と言うのは、今回のブラインドテイスティングを企画した、スパークス・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、清水孝章氏だ。

もし、クオリティ(品質)に差がないとしたら、この価格差をどう説明すればよいのか。ゴディバは輸入品なので、為替レートによるものではないかと考えたくなるが、為替レートでは8倍もの価格差を説明することは不可能だ。では、この「価格差8倍」の「正体」は何だろうか。

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