強引にリフレ政策を進める、安倍政権の末路 インフレ下の景気後退局面では、中央銀行は何もできない

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このように中東の国々がシェール革命のもたらす原油価格の下落に対して、強い危機意識を抱いて動き始めているのに対し、同じ資源国でもブラジルやロシアの反応はあまりにも鈍いと言わざるをえません。

中国リスクへの意識が薄い、ブラジルやロシア

原油の価格が落ちてくれば、鉄鉱石の価格もツレ安になるわけです。しかも、あれほど需要を無視して資源を買っていた中国経済がひどい状況に陥っていて、政変リスクさえ考慮しなければならないのです。

これまでの中国は無理して鉄鉱石を輸入して、鉄鋼を造ることによってGDPをカサ上げしてきました。ところが、そこまで需要が伴っていなかったので、在庫が異常に積み上がってしまっています。

以前は、しゃかりきに生産する鉄鋼を消費するために、まったく採算の見込めないインフラ開発を行ってみたり、築年数の浅い工場を壊して新しい工場に建て替えたり、人の住まない場所にマンション群を開発したり、無駄の限りを尽くしてきたのですが、ついにそれを続けられなくなったのです。中国は今後、これまで続けてきた浪費経済の調整をするしかありません。

2000年以降、中国は鉄鉱石にはじまり、銅、亜鉛、ニッケルなどを貪欲に買い続け、世界の需要の約4割を担ってきました。資源インフレの元凶のひとつであった中国が資源の無謀な買い付けを改めればどうなるでしょうか。

ここでも長期的な視野に立てば、世界の資源価格が総じて下落せざるをえないのは火を見るより明らかなのです。原油に関しても、目先は高くなる可能性を秘めてはいるけれど、地政学的リスクが収束すれば、中東産油国の原油は確実にダブつくのです。

そうなれば、対策らしい対策を採ってこなかったブラジルは、深刻な試練に見舞われるでしょう。ブラジルの政治の悪いところは、通貨安、通貨高になっても、アメリカあるいはほかの先進国を批判するのみで、自国では何も対応しようとしなかったことです。

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