ボルボ「V40」がドイツ車と渡り合える理由 発売4年経過でも息の長い人気が続く

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ワインディングではライバルのようにグイグイ曲がる性格ではないが、高速道路ではCセグメントのハッチバックであることを忘れるくらいドッシリとした走りで、どのグレードでも「小さなGT」と呼ぶにふさわしい乗り味に仕上がっている。ただ、重箱の隅をつつくと、大きめのギャップを越えるときなどの衝撃のいなし方や操舵時の前後バランスなどは時代を感じさせる部分があるのも事実。この辺りは次世代プラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュール・アーキテクチャー)」採用の次世代モデルに期待したいところだ。

さらに「羊の皮を被った狼」を目指す人には、ボルボのワークスチューナー「ポールスター」がプロデュースしたアドオンパーツ「ポールスター・パフォーマンス・パーツ(ECU、シャシー、タイヤ&ホイール、インテリア&エクステリア)」も用意している。これらのアイテムを特別装備した「V40 Rデザイン チューンド・バイ・ポールスター」が50台限定で発売中だ。

「現在、V40の平均価格は370万円を超えています。もともといいクルマであったことに加えて、バリエーション、OP、安全装備の充実など“プレミアム”の方向にシフトしたマーケティングの結果です。その成果、平均単価も適正化できたと思っています」(木村社長)

商品の“本質”が評価されるクルマが生き残る

V40のヒットは“引き算”の美しさや高級感が日本人にうまくマッチし、スウェーデン流が理解されたこともあるだろう(写真:ボルボ・カー・ジャパン提供)

ニューモデルが出ると話題はそちらに移るが、本当の実力は「デビューから時が経ったときにどうなのか?」が重要である。リアルワールドでリアルに使われることで、商品の“本質”が評価されるクルマが生き残る。新しさは“話題”で売れるが、本質は時が経っても変わらないのである。

V40のクリーンヒットはクルマのよさはもちろん、ドイツ勢のような“足し算”ではなく日本文化に似た“引き算”の美しさや高級感が日本人にうまくマッチしたうえに、スウェーデン発祥で日本でも展開されている大型家具量販店「IKEA」の効果も相まって、今まで以上に日本人にスウェーデン流が理解されたこともあるだろう。

ボルボは輸入車の中でも地方に強いブランドと言われ、「輸入車なのに買いやすい」「輸入車なのに後ろ指さされない」と言われていることも大きいと思う。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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