ポピーと桜 小菅信子著

ポピーと桜 小菅信子著

デビッド・リーン監督の『戦場にかける橋』は演出、俳優、音楽、みな忘れがたい。もっとも現実のイギリス軍捕虜は、泰緬(たいめん)鉄道建設で日本軍から虐待を受け、深い傷が残った。そしてその出来事は日英にとって深いシコリとなって残った。

日英和解という重い課題をめぐる悪戦苦闘の記録がまとめられた。元捕虜たちの対日憎悪は容易なことでは解消しない。日本への偏見と誤解。そして文化の違い。筆者は学者としてでなく、一人の日本人女性として老兵たちと積極的に交流し、体当たりで行動を続ける。やがて元捕虜の多くが胸襟を開く。

元捕虜たちの体験は厳しくつらいものだが、両者の交流は読む者をとらえて離さない。読者は物語の中に放り込まれるようにして読み進むのではないか。石橋湛山賞受賞作『戦後和解』(中公新書)の背後にはこれだけの人々の歴史があったのだ。併せて読めば感激や理解も一層増すだろう。(純)

岩波書店 2625円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • 最新の週刊東洋経済
  • 本当は怖い住宅購入
  • 賃金・生涯給料ランキング
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
MARCH大解剖 早慶を猛追!<br>進化する5大学の最前線

明治、青学、立教、中央、法政の5大学は「MARCH」と称され、志願者数も偏差値も右肩上がり。その中で実力で勝るのはどこでしょうか。大学ランキング、最前線の取り組み、親世代とは一変した新・学部序列、付属校など多角的に分析します。