藤沢:地域によっては、お母さんが育てるのが当たり前でしょ、という見えない圧力もあります。東京のように夜遅くまで働くことは少ないのですが、昼間に気楽に預けられるようにできるといいですね。
木本:こども保険によって、待機児童を減らす以外に、理想も入れるとどんなことができますか。
藤沢:簡単に増やすことはできませんが、予算を増やすとすると、いろいろなことに使えます。1つ議論しているのは児童手当。子どもが生まれたらもらうものですが、1人目はそこそこもらえるけど、2、3人目だって大変ですから、そこにも上乗せしようというようなやり方を考えています。
待機児童解消には4000億円かかります。0.2%の負担で総額が6800億円ですから、残り2800億円ありますね。現在600万人が未就学児なのですが、この方たちの児童手当を4000円加算して、その財源で賄おうというプランがあります。認可保育所に入ると月に2万~3万円の負担になるので、多少の負担軽減にはなります。もう少し増えれば保育料の無償化も目指せます。
木本:子育てに関する費用負担を全般的に減らすのがこども保険というわけですね。
藤沢:高齢者になって大変な思いをしている人を支えるのも大切なことなんですが、子どもも大事なので補おうというものです。
木本:高齢者への補償が薄くなることはない?
藤沢:こども保険が導入されても、高齢者への支給が減ることはありません。
木本:高齢者のため、子どもたちのためという部分の連鎖はどう考えていますか?
藤沢:1950年には12人の労働世代で1人の高齢者を支えていたのが、今は2人で1人の高齢者を支えるような形になっています。子どもを産みやすい環境になり、子どもが増えれば、高齢者を支えやすくなるというつながりがあるのです。
次の世代への投資という意識を
木本:子どもを増やさないと、われわれが年取ったときに支えてくれる人がいないということですものね。
藤沢:自分の子どもではないとしても、生まれてくる子どもたちは、保険料を負担してくれたりして、僕らを支えてくれます。「自分の子どもじゃないのになんで480円負担しなければいけないの?」という方がいます。そんな方には「待ってください。老人になったら支えてもらうんですよ。だから大変な思いをしている子育て世代を支援しましょう」と伝えたいですね。
木本:子どもへの投資というか……。
藤沢:次の世代への投資です。日本が新しい時代になっていかなければならないときに、自分にすべてのメリットが来るわけではないけれど、これから僕らが高齢者になったときのための保険というだけでなくて、この社会がちゃんと維持される仕組みにも投資していきましょう、ということなんです。
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