党大会「居眠り江沢民」から読む中国の近未来 元中国大使が断言「習近平の3期目はない」

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過去に鄧小平は「韜光養晦(とうこうようかい)」すなわち「隠れて爪を研いで表には出さない」と言っていた。しかし、習近平は5年前に「力を示すことに中国は躊躇しない」という表明をし、今回の大会でもその方針を継続するとしたのである。

中国は連邦国家に向かう道を歩んでいる

「中華民族の夢」は、経済と軍事など、力の面では着々と所期の目標実現に向かっているように見える。しかし、中華民族の誇りを取り戻すためには、力だけを高めていっても実現は不可能だ。力だけの国では、世界から信用されないし尊敬もされないからである。世界から信用と尊敬を得られなければ、世界をリードする国にはなれず、中華民族の誇りは達成できない。そうなれば、「中華民族の夢」は永遠に道半ばのままで終わってしまうこととなる。

世界から信用と尊敬を得るためには、力で押すばかりではダメだということを中国が意識するのも時間の問題と思う。いや、習近平自身はすでに意識しているかもしれない。中国が世界から信用され、尊敬されるためには、人道的にも、文化的にも開かれた社会を築き世界に示す必要がある。それは、私がこれまでにも述べているとおり、中国が民主制に変わっていく過程である。

私は、国が発展し、国民が豊かになれば、社会は自然と民主化の方向に動き出していくものと考えている。国民が総体として豊かになれば、おのずと権利に目覚め、国の主が自分たちであることに気づき始める。それは歴史の必然だ。権利に目覚めた14億の民を抑え込むことは、いかなる政府、いかなる指導者をもってしても不可能だ。

中国が共産党の独裁制から民主制の連邦国家になるまでは、まだまだ長い道のりがあると思うが、大きな歴史的な視点に立てば、習体制は中国が連邦制の民主国家に向かう道筋の途中に位置していると見ることができるのではないか。

習近平は権力を掌握した。日本はこの強力な習体制を脅威としてとらえるのではなく、チャンスと考えるべきである。中国がこの姿勢の大切さを認識することができれば、我々にとってもそれがNothing Newであった中国共産党大会から得られた数少ない収穫の1つだと、私は考えている。

丹羽 宇一郎 日本中国友好協会名誉会長

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にわ ういちろう / Uichiro Niwa

1939年愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年に社長に就任。1999年に約4000億円の不良資産を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年に会長に就任。内閣府経済財政諮問会議議員、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任し、2010年に民間出身では初の中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会名誉会長。著書に、『人は仕事で磨かれる』(文藝春秋)、『新装版 丹羽宇一郎 戦争の大問題』『丹羽宇一郎 習近平の大問題』『丹羽宇一郎 令和日本の大問題』(いずれも東洋経済新報社)、『人間の器』(幻冬舎)、『老いた今だから』(講談社)など多数。

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