米下院共和党が税改革案、法人税20%に下げ 実現すれば1980年以来、最大級の税制改革に
[ワシントン 2日 ロイター] - 米下院共和党は2日、トランプ大統領の看板政策である抜本的な税制改革法案の詳細を発表した。連邦法人税率の20%への引き下げや所得税の簡素化などを柱とし、実現すれば1980年以来最大級の税制改革となる。
法案によると、企業税制では法人税率を現行の35%から20%に引き下げる。同時に、米国への資金還流を促すことを念頭に、米企業の海外子会社の収益に10%を課税する新たな制度を導入する。米国内で事業を展開する外資に対しては、米国内から資金を海外に移転する場合、最大20%の税率を課す。
中小企業、個人事業主やパートナーシップなどのパススルー企業に課す税率は最高25%とする。現行ではパススルー企業に対する税率は最高39.6%となっている。
個人税制については、所得税の税率区分を現行の7区分から4区分に簡素化し、納税者の所得に応じ12、25、35、39.6%とする。従来計画では高額所得者に対する最高税率の39.6%を35%まで引き下げる案が出ていたが見送った。
基礎控除額はほぼ倍に引き上げる。同時に州・地方税(SALT)控除を廃止し、州・地方不動産税の適用上限を1万ドルとする方針も盛り込まれた。カリフォルニア、ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルバニア、イリノイなど、州税率の高い州の納税者に影響が及ぶことになる。
新規購入住宅のローン利子控除の適用上限となる住宅購入価格を50万ドルとし、現行の半分に引き下げる。
全米住宅建設業者協会(NAHB)は、都市部を中心に住宅価格を押し下げ、住宅所有者に打撃を与えるとし、「住宅市場を再び不況に陥れる恐れがある」と警鐘を鳴らした。とりわけワシントンDCやニューヨーク市、カリフォルニア州、ハワイ州への影響が顕著になるという。
争点のひとつとなってきた確定拠出年金(401k)制度は据え置く。
トランプ大統領は同法案を米国民の税負担軽減に向けた「重要な一歩」と位置付け、「まだ始まったばかりだ。まだ多くの仕事が残されている」と語った。共和党のライアン下院議長も「米国、そして米国民にとり極めて重要かつ特別な節目」と語った。
トランプ大統領は今月23日の感謝祭までに可決するよう議会に求めているが、民主党からは大企業や富裕層優遇との批判が上がり、連邦財政赤字拡大も懸念される。共和党内から造反議員が出る可能性も残されるなか、議会通過はなお予断を許さない状況となっている。
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