英中銀が10年ぶり利上げ、政策金利0.5%に 今後3年間「非常に緩やかな」追加利上げへ
[ロンドン 2日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は2日、政策金利を0.25%から0.50%に引き上げた。2007年以来の利上げとなる。
中銀は先行きについて、向こう3年間は「非常に緩やかな」追加利上げが必要になると予想していると表明した。
市場では今後に向けた中銀の慎重姿勢に注目が集まり、英ポンドが対ドルで下落、国債価格は上昇した。
利上げは7対2で決定。カンリフ副総裁とラムスデン副総裁は、賃金の伸びは低く現時点で利上げを正当化できないとして、据え置きを主張した。
中銀は声明で「インフレ水準が持続的な形で目標に戻るためには、金融政策スタンスを緩やかに引き締めることが妥当と金融政策委員会(MPC)が現時点で判断した」と説明。「今後の政策金利引き上げは緩やかなペースで限定的に行うことで、メンバー全員が一致した」としている。
この日利上げに踏み切ったが、中銀は国内家計や企業の借り入れコストが「歴史的にかなり低い」状態が続くとの見通しを示した。
カーニー総裁は「大まか」な表現としつつ、2020年末までに25ベーシスポイント(bp)の追加利上げを2回行うという投資家らの見方と同じと説明した。
ただインフレが3年間、中銀目標の2%を超え続けるとの見通しも示した。
総裁は「インフレを目標水準に戻すため、2回の追加利上げが実際に必要だ」指摘。「見通しを注視すればインフレが目標に近づいていくが、まだ完全に到達せず、経済は過剰需要の状態となる公算が大きい」と述べた。
MPC内で意見が分かれた背景には、中銀が直面するジレンマがある。
英国の欧州連合(EU)離脱決定後のポンド急落でインフレが高進して消費支出に影響し、今年の経済成長ペースは鈍い。賃金上昇水準もインフレ動向を下回る。中銀は、英EU離脱決定で景気見通しに「顕著な影響」が表れているとも指摘した。
カーニー総裁は、政策金利を変更する際にEU離脱交渉が最大の要因になる公算が大きいとの認識を示した。「(EUとの)将来の関係を明確な形で解決するまで、たとえ解決後の期間に至るまで、当面は異例の状況となる」と述べた。
中銀は、1970年代以来の低さとなっている失業率や改善が見込まれる生産性の伸びから、賃金上昇ペースも加速するとの見通しを示した。
インフレ水準は10月の3.2%でピークに達すると予測。金融市場が織り込む「緩やかな上昇」の道筋に沿う形で、政策金利を引き上げれる場合にのみ、インフレは2%の目標近く低下すると見通した。
これは政策金利が2020年までに1%に達し、来年は0.25%ポイントの利上げを1回行う公算が大きいことを意味する。
UBSウェルス・マネジメントのエコノミストは「景気が順調でなく、EU離脱がどうなるのか分からないときに(政策金利を)引き上げるのは、ややギャンブルとも言える」と話した。
コンサルティング会社EY・ITEMクラブのハワード・アーチャー氏は、追加利上げは来年終盤までないと予想する。
クレディスイスのストラテジストは、中銀のメッセージを受けて今後2カ月間の英EU離脱交渉の重要性が金融市場で増したと指摘。「進展があれば債券利回りが上昇し、ポンドが反発する可能性もある」と語った。
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