平均38万円!「塾代が払えない」問題の処方箋 親の所得による「学習格差」をどう縮めるか
さて、親は塾や家庭教師といった学校以外の教育費をどれくらいかけているのだろうか。
中3の塾・家庭教師代は年間平均38万円!
公立学校の年間平均では、小学6年生で15万3000円、中学1年生で15万6000円、中学2年生20万円、中学3年生38万円(文部科学省「平成26年度『子供の学習費調査』の結果について」)となっている。
中学3年生の補助学習費が公立中学校であっても38万円とダントツに高くなっていることを指摘できる。中学3年生は高校入試を控えているため、その準備のために塾などの学校外で勉強することに多額の費用を払っていることを意味している。
年間38万円もの額を出すのは容易でない家庭もあることだろう。通えたとしても複数の教科だと高すぎるため、十分な教科数を学べない可能性もある。実際、親の年収が高いほど子どもへの教育支出は高い。年収800万円以上の家庭は、年収400万円以下の家庭に比べ、塾代を4倍もの規模で支出している。
子どもの学力は本人の能力と努力にも依存するので親の年収だけで必ずしも決まるものではないが、親の年収差によって学習環境に違いが生じることは、当然のこととして想定できる。
実際、小学6年生を対象にした調査では、親の年収が200万円未満の児童と1500万円以上児童の点差は国語でおよそ20点弱、算数で20点強という結果が出ている(参考:「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか)。
それでは、全員が塾に行く社会が望ましいのだろうか。個人的には、学校の勉強と自宅での勉強によって学力の向上を図るのが理想と考えるので、全員が塾に行く必要はないと考える。
とはいえ、公立の小・中学校では、生徒間の学力差が大きく、学力の高い子と低い子の両方を同時に教育するのは困難である。
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