「フォーエバー21」原宿店、なぜ閉店したのか 日本1号店が閉鎖、安さだけでは生き残れない
実際、原宿店から最も近い渋谷店に足を運ぶと、店内では20代後半~30代の女性や、子育て世代、外国人客の多さが目についた。一方、「若者の街」として知られ、竹下通りなどが有名な原宿エリアの客層は10代の小中高校生がメインで、フォーエバー21の顧客層とは隔たりがあった。こうした状況に鑑みると売り上げは苦戦していたとみられる。
それだけではない。原宿店は、H&Mやラフォーレ原宿が並ぶ明治通り沿いの一等地に建つ。地下1階から地上4階まで計5フロア、500坪を超える大型店だった。ある業界関係者は「売上高が当初の勢いを失ってくるにつれ、高額な家賃の負担が厳しくなっていったのだろう」と話す。
日本市場での競争が激化
実は原宿店に先立って、今年1月にダイバーシティ東京 プラザのお台場店と、ららぽーとTOKYO-BAYの船橋店が同時に閉店した。
フォーエバー21はZARAやH&Mといったライバル勢に比べて、男性向けや子供向けの商品が少ない。5フロアを展開していた原宿店でもメンズは1フロアのみ。家族連れの客も多いららぽーとの店舗では、レディス商品を主力とするラインナップが裏目に出たとみられる。
日本のファストファッション市場ではファーストリテイリングが展開するユニクロが圧倒的優位にあり、同社の低価格ブランドであるGUが店舗網を拡大している。こうした競争環境下で、価格帯がバッティングしていたGAPの低価格ブランド「オールドネイビー」は今年1月末までに日本の店舗を全店閉鎖した。安さをウリにするフォーエバー21もオールドネイビー同様に苦しい戦いを強いられている。
前出の飯嶋氏は「人々のおカネのかけ方が変わり、ファッションが一番の関心事ではなくなってきた。現状は国内の人口に比べて圧倒的にファッションが供給過剰。機能性などこだわりを発信できるブランドは残っても、安さだけでの勝負は厳しくなる」と分析する。
フォーエバー21は創業者であるドン・チャン氏の一族経営が続き、株式上場もしていない。業績不振が続く地域については、主戦場の米国でなくてもトップダウンの経営判断により、早期に閉店が決定する可能性もある。
日本では現在、札幌や沖縄を含め17店が営業を続ける。オープン当時の国内の熱狂ぶりを振り返れば、第1号店の原宿店は、あっけない閉店を迎えた。商品戦略の見直しに加え、競合との差別化をさらに明確にしないかぎり、フォーエバー21の閉店は続くかもしれない。
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