「子どもの誕生日会」に浪費する親たちの心理 マジシャンからDJ、チアリーダーまで用意

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2児の母で、専業主婦のクラリッサ・ウェイルさんも子どもの誕生日パーティへの出費を惜しまない親の1人だ。「会場、マジシャン、食事、装飾を付け足し始めたら、最低でもすぐ合計500ドルに達してしまう」と語る。

「親として、子どもには楽しい思いをさせてやる必要があると思う」と、ウェイルさん。この思いは特に、子どもが小さかった頃、強かったという。子どもにとって特別な日に、「自分は特別なのだ」と感じさせてあげたい――。それゆえ、自分の子どもたちのために際立った思い出を作ってあげたいとの思いが先行し、費用は二の次になってしまうという。

映画の世界観を再現したパーティ

イベントプランナーが必要となるような、さらに高級な誕生日パーティの場合、その費用は5000〜2万ドル程度にまで膨らむ。

ニューヨークを拠点に活動するイベントプランナー、ケリ・レヴィット氏は、こうした誕生日パーティの「ぜいたく化」は、ソーシャルメディアによって拍車がかかっていると指摘する。たとえば、画像共有サイトのピンタレストには、「ベスト・キッズ・パーティ・アイデア」という項目だけで、子どもの誕生日パーティ関連の写真2400枚以上が掲載されている。

SNSで人気のお騒がせセレブ、カーダシアン一家のキムとコートニー・カーダシアンは、それぞれ4歳と5歳になる娘たちのために、ディズニー映画『モアナと伝説の海』をテーマとした誕生日パーティを開催し、その様子をSNSに投稿。そこには、衣装から食事まで映画の世界を再現した写真が数多く掲載されていた。

「私たちはとても特殊な世界に住んでおり、ネット上には信じられないようなインスピレーションや、目を楽しませてくれるコンテンツがある」と、レビット氏はニュースサイトMoney-ishに語っている。「大規模で豪華なパーティからポップスターが開くパーティまで、(SNSでは)子どもが興味を持ちそうなありとあらゆるパーティを探すことができる。しかも、どれも詳細まで調べることができる」。

SNSを通じてパーティを公開するようになった今、親たちは「周りに負けないように」という意識すら持ち始めている。自分の子どものパーティはもはや小規模でも、シンプルでも、個人的なものでもない。こうしたパーティを、出席者やほかの地域の友人などから見ているからだ。多くの人々が、子どものみならず、出席者や友人に好印象を持たれたいと思っていることに説明はいらないだろう。

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