ぐっちーさん「電通も博報堂も必要ない時代」 今を「格差時代」と見るか「産業革命」と見るか

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普通の経済評論家と違うので、私のような実業家にとってはこの数字はまさに衝撃的です。要するにビジネスの観点から見ればこの2.7億人は、効率が悪いから、極端な話、もういらないわけですよ。相手にしなくていい。

はっきりいえば、そのトップ30万人さえ相手にしていればビジネスが成り立つというということにほかなりません。となると、テレビで巨額を投じて、つまらん広告宣伝をする必要もありませんし、そういう人たちだけを対象にすれば十分に食えるビジネスが成り立つということです。

大企業の存在価値は、どんどんなくなってきている

さらに、これは大きな市場を相手にすることが可能な大企業の存在価値がなくなる、ということにほかなりません。その30万人のうちの20%のマーケットシェアを取りにいくのなら、わずか6万人です。これなら従業員2~3人の会社で十分コンタクト可能でしょう。電通も博報堂もいりません。極端な話、フェイスブックだけでビジネスが始められる。問われることはそのビジネスがどれだけ「尖っている」かということだけです。その6万人をいかにがっちり確保できるビジネスになっているか。ニーズさえミートすれば、そこにはその富裕層の何万人が放っておいてもやってくる。そんな時代がもう来ているのです。

「毎日朝8時に会社に来て、夜の22時まで残業しているやつが偉い」という時代はもう終わりです。そういう企業は東芝も含め、何の未来もありません。2時間しか出社しなくても食える環境が整いつつある、という意味ではこのゴールドマンの統計は重要な示唆に富んでいます。

まさにこれこそ新たなる「産業革命」といえるのではないでしょうか。
1日2時間働けばいい社会が来るなら、それはそれで、たいへんすばらしいことだと思いませんか。サラリーマンなら格差格差と言って嘆くよりも、そういう道を見つけて、自分で創業できる時代がきた、と喜ぶことが肝心です。私は本当にサラリーマンには向いていなくて(笑)、電車が混んでいると言っては遅刻するもので、よく上司から怒られていました。でも今こうやって自分で事業をやってみると、リスクはありますが、とてもやりがいがあり、毎日生き生きと生活していられます。それもこれもそういう時代にめぐりあってこそ、だと思います。

「いやいや、俺はリスクを取りたくない、家族がいるし……」というお話を大企業の社員の方からよく聞くんですが、今の会社にしがみついて、何も得意分野のないままに気がついてみればその会社が潰れているとか、「もう自分のいすがない」なんて話はたくさんあるわけでありまして、これからの時代、自分でどうやって生活するか、ということを考えねばなりません。

その意味ではこのゴールドマンの統計を見ると、改めていい時代がきたな、としか思えないわけであります。ご自分の人生は置いておいても、お子様の将来についてはこの点は十分考慮されたほうがいいのではないでしょうか。

次ページさて、ここからは競馬。週末は天皇賞だっ!
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