正しく知る地球温暖化 赤祖父俊一著
「不都合な真実」は本当に疑う余地のない「真実」なのか。著者(北極圏研究の世界的権威)は、温暖化の原因の大半は地球の自然変動であって、人類がこの60年間、急速に増やしてきた炭酸ガスのせいではない、と断言している。
温暖化の原因を特定するについては、IPCCのように気温と炭酸ガス濃度の短期的変化をコンピュータ処理して結論付けてはいけない。長期的に見れば地球は過去200年にわたる小氷河期からの回復過程にある(つまり温暖化)ことが明らかだ。本書の基本的立場はこのようなもので、豊富なデータ、事実、論理が縦横に展開される。
読みやすくかつ説得力十分であるが、科学的反論はほとんど皆無だという。炭酸ガス主犯説を主張する学者、メディアは正面から論争する義務と責任があるのではないか。リサイクルや排出権取引などの環境政策の根本にかかわる問題なのに、これでは国益が損なわれないか心配になる。(純)
誠文堂新光社 1470円
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