「企業脱出」続くカタルーニャ独立のジレンマ スペイン最古の企業もついに去った
もっとも、カタルーニャからの企業流出は今に始まったことではない。同州で独立機運が高まり始めた2008年以降、カタルーニャ州外に本社を移転させた企業は7956社に上る。もちろん、この間カタルーニャに誕生した企業や、移転してきた企業もあるが、それを差し引いた場合、2624社がカタルーニャから姿を消したことになる。
州政府の財務・経済を担当しているジュンケラス副州知事は「企業の移転は心理的なインパクトが現実よりも強いだけである」と述べて、実質経済への波及はわずかだと指摘。カタルーニャの国民総生産(GDP)には影響ないと述べている。
州外に雇用の流出懸念も
しかし、この発言には隠されていることがある。たとえば、企業の法人税は国に納税されているが、そのおよそ1割は自治州の財源に還元される。つまり、本社を置く企業が減ることは、国から回ってくる税収が減ることを意味している。これは、州政府の財源に深刻な影響を与えかねない。
こうした中、カタルーニャの企業連合の1つ「Foment del Treball」は、州政府が「法にのっとった形」に戻ることを要求。同企業連合は、最悪の事態は数カ月、あるいは数年先に表面化しかねないと指摘している。このほか、カタルーニャへの投資が減ることや、雇用が州外に移ることも懸念事項として挙げている。
企業が利益を優先するのは当然ではあるが、これを理由に住んでいる人々の独立機運を鎮めるのは容易ではないだろう。だからこそ、スペイン政府と州政府は互いに強硬姿勢を貫くことなく、対話の機会を模索し続ける必要があるのではないか。
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