「企業脱出」続くカタルーニャ独立のジレンマ

スペイン最古の企業もついに去った

また、州政府を構成している主要政党の1つ、カタルーニャ民主集中のジュセップ・ルイス・クレリエス上院代表も同様に、155条の適用を「国家クーデター」と位置づけ、「ラホイ首相がやろうとしていることは正に155条に規定されていない内容だ」「首相の都合に合ったように理解を下したまでだ」と述べている。

こうした中、スペインのテロ組織「エタ」の撲滅に活躍したバルタサル・ガルソン判事は、155条の適用は正当であるとしながらも、「最初から州政府の機能を停止させるようには規定されていない」と指摘。「少しずつ適用されて行くべきだ」と発言している。

強硬手段に出るラホイ首相の言い分

一部報道によると、スペイン政府と州政府は秘密裏に接触しているもよう。しかし、双方で合意には至っていない。これは、スペイン政府が州政府による独立という姿勢を批判し、これまでの行為を違憲だと認めることを交渉条件に掲げていることが理由とみられている。

そもそも、現在のカタルーニャ州政府は2党の連立政権に加え、左派過激派が必要時に票を貸して過半数を確保している状態で、この3党の意見が「違憲」という方向にまとまるのはそう簡単なことではない。これが、スペイン政府との交渉にも影響しているとみていいだろう。

こうした中、スペイン政府は自治州機能停止という強硬手段に出るわけだ。計画では、まずプチデモン州知事とジュンケラス副州知事を解任し、それから閣僚全員を解任する。また州政府に癒着していることが判明している自治警察のトゥラペロ警視総監も解任。さらに、州政府寄りの報道が目立つTV3テレビとラジオにも介入するとしている。州政府の通信および情報テクノロジーセンターも、治安警察管轄下に置かれるという。

ラホイ首相は、閣僚会議後記者団に対し、155条を発動することについて、カタルーニャ州政府によるスペイン憲法の蹂躙と、州議会の野党の存在を無視した議会制民主主義を正しい状態に戻すことが目的だと説明。スペイン国内での独立支持派と反対派の対立を防ぐと同時に、企業がカタルーニャ州から流出するのを防ぐことで経済を安定化させたいと語った。

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